異例の短期決戦となった衆院選は３１日、投開票される。阪神間の兵庫６区（伊丹市、宝塚市、川西市南部）や７区（西宮市南部、芦屋市）、８区（尼崎市）には３人ずつ計９人が立候補し、激戦を展開。選挙戦の最終日となった３０日は、候補者たちが駅前や街頭で「最後の訴え」に声をからした。（衆院選取材班）

【兵庫６区】　　　　　　

■給料上げ景気良くする

　立民前職・桜井周氏（５１）は選挙カーで選挙区内の各地を回り、主要駅前で声を振り絞った。「アベノミクスは金持ち優遇政策」と自公政権の取り組みを批判し、消費税率の５％減税や最低賃金の引き上げなどを強調。さらに野党統一候補であるとアピールし、「これらは野党の共通政策。給料が上がっていけば景気も良くなる。私たち庶民から豊かになる政策をやらせてほしい」と呼び掛けた。

■地域のために予算確保

　自民前職・大串正樹氏（５５）は伊丹、川西、宝塚市を巡り、駅前や交差点近くで有権者に訴えた。阪急伊丹駅前では「３期９年、地域のために、しっかりと国の予算を確保することに努めてきた。与党の強みだ。コロナ後の経済再生へ、政権を選択し、国の行く末を決める選挙になる」と声を張り上げた。最後は阪急宝塚駅前で、応援に駆け付けた西村康稔前経済再生担当相と共に支持を呼び掛けた。

■改革と成長推し進める

　維新元職・市村浩一郎氏（５７）は、党副代表の吉村洋文大阪府知事と阪急伊丹駅前や阪急川西能勢口駅前で演説した。伊丹では５００人以上の有権者を前に「コロナ禍で傷付いた日本経済を立て直すため、改革と成長を推し進めることが必要だ」と強調。「しがらみのない維新だからこそ、この国を変える力を持っている。どうか４度目の国会へ送り返して欲しい」と声を張り上げた。

【兵庫７区】

■あるべき政治取り戻す

　立民新人・安田真理氏（４３）は終日各地で演説。「競争をあおり、弱者を切り捨てるのが自民、維新の考え方」と対立候補をけん制し「『行財政改革』『無駄を省き成長を促す』と聞こえのいいことばかり言っているが、生活補償も削る方向にある」「規制緩和とは本来政治がやるべきことを民間に任せる行為。生活、安全は守れない。政治のあるべき姿を取り戻したい」と呼び掛けた。

■結果出す政権に託して

　自民前職・山田賢司氏（５５）は街頭でチラシ配りや演説をした後、最後はＪＲ西宮駅前でマイクを握った。「批判だけなら誰でもできる。耳障りのいい公約をチラシに書くのも簡単。争点は結果を出せるかどうかだ」と語り、新型コロナのワクチン接種率が世界トップクラスになった実績を強調。「コロナ対策、経済、子育てで結果を出す。自公政権に託してほしい」と通行人に訴えた。

■教育の無償化を全国で

　維新元職・三木圭恵氏（５５）は、２度目の来援となった大阪府知事の吉村洋文副代表と並び、ららぽーと甲子園前で演説した。大阪で進む教育の無償化を「一番の公約。全国でやっていきたい」と強調。「子どもに限らず女性や若者の学び直しも無償で受けられる日本にしたい」とした。さらに「自民一強だと政治は変わらない。一石を投ずることができるのは維新だけだ」とも呼び掛けた。

【兵庫８区】

■消費税廃止を呼び掛け

　れいわ元職・辻恵氏（７３）は、尼崎中央商店街で最後の訴え。森友・加計学園の問題に触れて「国会はなれ合いの議論をしている」と批判。４０年の弁護士活動と、元職の経験を生かし「より突っ込んだ本質的な議論をする」とアピールした。党が公約に掲げる消費税廃止を呼び掛けながら商店街を練り歩き「もっと物を買う、売る、作ることができるよう経済を活性化する」と訴えた。

■人が大事にされる国に

　共産新人・小村潤氏（４６）は、駅前やスーパー前、商店街などを巡り、気候危機を打開し、ジェンダー平等社会を実現すると訴えた。憲法改正問題には「平和憲法を守り、子どもたちに争いのない国、一人一人が大事にされる国を引き渡していきたい」と強調。「核兵器禁止条約に参加し、世界に向けて核を無くそうと平和を訴えるには政権交代が最も近道だ」と力を込めた。

■命を守る具体策進める

　公明前職・中野洋昌氏（４３）は「必勝」と書いた鉢巻きを締めて街宣。伊藤孝江参院議員らの応援を受けながら、市役所前の公園や駅前に立った。「早くからワクチンの確保を働きかけ、接種を進めてきた結果、感染状況が落ち着いた」と実績を強調しつつ、対立候補２人も強く意識し「この間、野党は批判しかしなかった。命を守るための具体的政策を進めることこそが政治だ」と訴えた。