水上で多彩な技を繰り広げる「ウエークボード」の国内最年少プロ選手で、兵庫県川西市立清和台中３年の岸田ひなのさん（１４）が、米ジョージア州で開かれた世界大会（１８歳以下、女子の部）で優勝した。持ち前の勝負強さと集中力で世界一を勝ち取り、卒業後は競技に専念するために米国への留学を計画している。「これからも新しいレベルの技に挑みたい」と意気込む。（久保田麻依子）

　ウエークボードは、モーターボートに取り付けたロープを引っ張りながら、ボードに乗って回転技などを競う。

　岸田さんは世界大会の準備のため、７月下旬から米国入りした。９月２０日の決勝は６人で争い、岸田さんは往復４００メートルで八つの技を披露。前と横に１回転する「ダムダム」など高難度の技を次々と成功させた。

　「緊張で１００点満点の競技ではなかったけれど、勝てる自信はあった」と晴れ晴れとした表情で笑う。

　小学５年の時に兄の影響で競技を始めた。西宮浜や琵琶湖まで足を運んで練習を続けると、すぐに頭角を現して１１歳で国内最年少のプロ入りを果たした。

　幼少時代からそばで見守ってきた父の英章さん（３９）は、練習で失敗するたびに激しく波に打ち付けられる娘を見てきて「技の習得までの困難を乗り越えられる強い気持ちを持っている」と太鼓判を押す。競技に季節は関係なく、冬場はウエットスーツを着て練習に励んだり、体幹を鍛えるトレーニングをしたりする。

　中学卒業後はプロ選手として、練習環境や大会が充実している米国への留学を検討している。コミュニケーション力を上達させるため、英語の勉強に力を入れているといい、岸田さんは「どんどん技を磨いて世界で活躍できる選手になりたい」と抱負を語った。