地域でそれぞれ確かな存在感を示しながら、今は姿を消した「旧名所」があります。
古くから都市部として発展し、多くの人や物を集めてきた阪神地域はその宝庫です。人気だった娯楽施設や、生活の中のランドマークに加え、先の戦争の記憶も…。
その面影と時代の空気を探して歩きました。(2016年9月の連載から=肩書、年齢は当時)
■尼崎の工業地帯 100年かけて森づくり
工場が立ち並ぶ尼崎臨海地域。10年前、工場跡地に市民らが植林を始めた。
その苗は林に成長。2014年、「尼崎の森中央緑地」(兵庫県尼崎市扇町)として開園した。青々とした芝生の広場が気持ちいい。
「空がきれいになった。昔と大違い」。そう話すのは、尼崎市立地域研究史料館の辻川敦館長(56)。
東に中島川、西に武庫川が流れる豊かな土地だった。1920年ごろは、川ではハマグリやアサリが捕れ、潮干狩りでにぎわったという。畑では、市名産のサツマイモ「尼いも」が盛んに栽培されていたという。
高度経済成長期の50年代に入ると、機械、金属、プラスチックといった重化学工場が進出。臨海部に煙突がずらりと並び、有害物質を含む真っ黒な煙を排出した。追い打ちをかけたのが、国道43号や阪神高速道路を走る車の排ガス。分厚い煙が空を覆った。
当時、神戸製鋼所尼崎製鉄所で働いていた吉留照夫さん(77)=西宮市=は「町を走る車は昼間でも必ずヘッドライトを付けなければならなかった。晴れているのか、曇っているのか。天気がよく分かるのは、雨の日くらい」と振り返る。
73年には、市の南部3分の2が大気汚染の公害地域に指定された。気管支ぜんそくや肺気腫などを発症する人が多く、県によると、市内で累計1万1208人が公害病と認定された。今も1821人(4月1日時点)の認定患者が暮らす。
☆ ★
「工都」と呼ばれた町には今、尼崎の森中央緑地を中心に、300種類以上の苗木が並ぶ。シイ、クヌギ、エドヒガン…。既存の風土に合うよう、武庫川や猪名川の上流で種を採取し、育てている。
これらは、県が打ち出した「尼崎21世紀の森構想」の一環。国道43号以南の約千ヘクタールに100年かけて森をつくる壮大な構想で、公害に苦しんできた町に緑を取り戻し、「人と自然の共生」を目指す。
自然を再生するだけでなく、市民や企業が主体となったユニークなイベントも企画している。運河に船を走らせ、両脇に立ち並ぶ工場を眺める「うんぱく(運河博覧会)」には、毎年多くの観光客が集まる。
これからの課題は「人」。100年という長い年月をどう取り組むのか。子ども、孫、ひ孫…。1世紀にわたる夢の挑戦が続く。
【尼崎の森中央緑地】2014年に開園。29ヘクタールの敷地に木々や緑が広がる。北側にはプールやフットサルコートなどを備えた「尼崎スポーツの森」がある。同緑地は常時開放(管理事務所は除く)。TEL06・6412・1900
◆
「尼崎旧名所特集」は今回で終了です。

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