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力強く歌う長見祐輔さん(ブックオフホールディングス提供)
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力強く歌う長見祐輔さん(ブックオフホールディングス提供)
ブックオフの企画でアルバムを発表したロックバンド「裸体」のメンバー(ブックオフホールディングス提供)
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ブックオフの企画でアルバムを発表したロックバンド「裸体」のメンバー(ブックオフホールディングス提供)

 兵庫県尼崎市内にある中古品販売店「ブックオフ」に勤める男性主任の所属するロックバンドグループが初のアルバムを完成させ、本社の「ブックオフグループホールディングス」(神奈川県)が全国106店で独占販売を始めた。店員たちの創作活動を支援するという社内プロジェクトの第1弾として抜てきされ、男性は「自分たちの曲が誰かの人生のほんの一部にでもなってくれたらうれしい」と笑顔で語る。(村上貴浩)

 尼崎市西昆陽1の「ブックオフスーパーバザー171号尼崎西昆陽店」で主任を務める長見祐輔さん(35)=尼崎市。4人組ロックバンド「裸体」でギターボーカルを担当し、人を励ます曲に持ち味がある。

 昨年10月、同社は、社内プロジェクトを社員投票で決める企画を始め、約900件の提案から「店員の創作活動を支援するプロジェクト」が決定した。そんな中、長見さんがバンド仲間と考えていたアルバムの制作販売が、周囲の後押しもあって第1弾に選ばれた。

 店を訪れると、接客や商品の陳列、店員指導を笑顔でこなす長見さんがいた。仕事を終えて制服を脱ぎ、ギターを背負ってマイクの前に立つと表情が変わる。

    ◇    ◇

 1986年、高知県出身。中学生の時に兄の影響でギターを始め、高校時代に初めてバンドを組んだ。大阪の大学に進むと、すぐに軽音楽部に入った。「音楽が生活の一部になっていたから、ずっと続けてきました」と話す。

 2008年、大学3年生の時に知人の紹介でロックバンド「裸体」に加わり、ギターを担当した。

 メンバーが入れ替わりながらもライブハウスで活動を続けていたある日、ボーカルの男性が倒れた。心身が不調になる中で無理がたたって一時的な記憶喪失になり、次のライブまで3日しかなかった。

 急きょボーカルを任され、今でも歌い続けている。

    ◇    ◇

 就職活動はせず、大学卒業後は大阪にあるブックオフの店舗でアルバイトをしながらバンド活動を続けた。「当時は音楽で食べていきたいというより、楽しいことをしたいっていう思いでした」。恥ずかしそうに振り返るが、18年に転機が訪れる。

 社員にならないか-。バイトを始めて7年後に声を掛けられ、社員になった。

 もともと古着屋や古本屋の雑多な雰囲気をはじめ、中古品から自分好みの代物を探す作業が好きで始めた仕事だった。バンドと「二足のわらじ」を続ける店員として社内で知られるようになり、自身も主任に昇格する中で、今回のプロジェクトが舞い込んできた。

 「いつかアルバムを出したいと考えていた。こんなにうれしいことはない」

 バンド仲間たちも大喜びしてくれた。

    ◇    ◇

 アルバムには4年前から作った13曲を収録。中でも、ライブで何度も共演した友人が4年前に自殺し、彼への思いをつづった曲は、自然にわき出てきた言葉に音楽を乗せた。

 今月15日に一斉発売し、それに合わせて東京の「ブックオフ吉祥寺駅北口店」で記念ライブも開いた。

 「忘れないでいるよ」

 「今でも聞こえるよ 今でもふらつくよ」

 「それでも進んでるよ」

 2800円(税別)。公式ホームページでも購入できる。

 「バンド仲間たちとは衝突も多い。でも突っ走った時も立ち止まった時も、一緒に進化してきた。血と汗と涙がにじんだ1枚です」

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