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ラジオ番組のパーソナリティーを務めた湊かなえさん(武庫川女子大学提供)=大阪市内(2020年6月20日撮影)
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ラジオ番組のパーソナリティーを務めた湊かなえさん(武庫川女子大学提供)=大阪市内(2020年6月20日撮影)
本になった「湊かなえのことば結び」(撮影・斎藤雅志)
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本になった「湊かなえのことば結び」(撮影・斎藤雅志)

 兵庫県洲本市在住の人気小説家湊かなえさんがパーソナリティーを務めたラジオ番組「湊かなえの『ことば結び』」が本になった。小説家を目指す人への助言や作品を生み出すきっかけ、淡路島への思い…。湊さんが番組で日常の出来事をテーマに優しく語った言葉、メッセージが放送日ごとにまとめられ、湊さんのほのぼのとした人柄が伺える。(西尾和高)

■武庫女大が書籍化を提案

 ラジオ番組は湊さんの母校である武庫川女子大学(西宮市池開町)がスポンサーとなり、2020年6月3日~22年3月30日にFM大阪で96回放送。週1回の30分番組で、リスナーに短編小説やエッセーを投稿してもらうコーナーなどが人気を集めた。

 湊さんの数珠の言葉をリスナー以外にも伝えようと今春、武庫女大は書籍化を提案した。ラジオ番組から湊さんの発言などを中心に抜粋し、湊さんが加筆、修正して10月に出版された。

■つらい結末にも「逃げるな」

 本はラジオ番組のタイトルと同名で、湊さんが小説の書き方をテーマに話した内容がたくさん紹介されている。作品を書くときに決めていることとして、物語の結末がつらい描写になっても「逃げるな」「絶対に妥協しない」と自分に言い聞かせるという。

 小説家を目指す人には「テーマを自分の中で消化して物語にするという瞬発力が必要」と助言し「書き上げた作品は自信がなくても、必ず応募するように」と勧める。

 物語の構想の立て方、発想が浮かばない時のスランプの脱出方法など創作の苦労も明かす。湊さんは旅行好きで、学生時代、サイクリング同好会に所属して自転車で全国を旅したことなど意外な過去にも触れて「地球を抱え込めるくらい、たくさんの国に行ってみたい」とユーモラスに話す。

■コロナ禍で「狭く暗い空間に」

 番組の中で印象に残った湊さんの発言は「本日のことば」として放送日ごとに紹介している。「コロナ前よりもしんどくなっている人がたくさんいる。足を止めた後の歩みの一歩、踏み出し方をみんなで考えてみませんか」などとリスナーに送ったぬくもりのある言葉も楽しめる。

 湊さんは本の中で「新型コロナウイルスのまん延に、目の前に広がる多くのドアに鍵をかけられ、狭く暗い空間に閉じ込められたような気分になった。そこに一つだけ鍵がかかっていないドアが『湊かなえのことば結び』だった」と強調してこう呼びかける。

 「作品やメッセージの投稿は会えなくてもつながりができ、元気と勇気をもらった。本を通じてさらに多くの『仲間』が増えることを願う」

 全国の書店で販売。四六判。443ページ。1980円(税込み)。角川春樹事務所TEL03・3263・5247

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