杭瀬駅(兵庫県尼崎市杭瀬本町1)北側のアーケードに、市場や商店街が東西600メートル超に広がる。
レトロな雰囲気の喫茶店や駄菓子店が目を引き、こだわりの青果、魚、豆腐店が迷路のような路地にひしめく。五感を刺激し、縁日をほうふつさせる。何十年も前にタイムスリップしたような空間に、観光中の女性は言った。
「町並みは古いのに、逆にそれが新しいよね」
商店街には、昨年のサッカーワールドカップ(W杯)で活躍した地元出身の堂安律選手を応援する横断幕がたなびいている。
W杯予選では危機的な状況下で大金星をあげ、決勝トーナメントへ1位通過した日本代表。まちはその逆転劇をなぞるように、にぎわいを取り戻しつつある。
「耐えて、もがいて、楽しむ中で、活路が見えてきた」。杭瀬中市場の副理事長で総菜店主の石原和明さん(57)が打ち明ける。
戦争で焼け野原となった一帯は闇市をルーツに復興し、1960年代は労働者であふれ、映画館やダンスホールもあって活況だった。しかし、大型スーパーの台頭や人口減のあおりで、シャッターを閉じる店はぽつり、ぽつりと増えた。市場をつぶすか、それとも大胆に改装するか-。岐路に立つ中、店主らが選んだ結論はどちらでもなかった。
「このままでええやん。開き直って、前に進もう」
目算は当たった。2014年、市場内の店から食材を調達する「市場食堂」を開くとファンが増え、若者らが小物展や鉄道関連イベントを企画して盛り上げるようになった。20年春にはユーチューブに「杭瀬チャンネル」を開設。若手の映像クリエーターと協力して人や店を取り上げ、登録者数は1200人に伸びた。
追い風も吹いている。NHKの夜ドラ「あなたのブツが、ここに」をはじめ、近年はテレビドラマのロケ地に選ばれることが急増した。石原さんは「昭和の薫りを残した雰囲気が『絵になる』と選ばれるようになった」と手応えを話す。
人と人が巡り合うまちへ。市場内で21年春にオープンした古本店「二号店」もその原動力の一つだ。
約2千冊の文庫本や絵本を並べ、店の当番は希望者が日替わりで務めるというユニークな仕組み。時には古着や野菜、木材店のインテリアが出ることもある。
提案した伊丹市の三鼓由希子さんは「くつろいだり、趣味や生きがいを交換したり。そんな温かい空間が、このまちにはしっくりとくる」と笑う。
駅前を散策していると、地元の女性が「駅前に不思議な形の信号機があるのよ」と教えてくれた。見ると、点灯部分を覆う枠が六角形になっている。撮影中、自転車に乗ったおっちゃんが声をかけてきた。
「下町なのに、近未来型やろ。知らんけど」
【杭瀬駅】1905(明治38)年4月、阪神電鉄の開業に合わせて設置され、70年代後半に高架化された。駅は兵庫県最東にある。1日平均の利用者数は、7452人(2021年11月時点、阪神電鉄調べ)。
◇
阪神地域の各駅を起点に記者が訪ね歩き、まちの見どころや人々との触れ合いを紹介する「阪神駅前情話」。2016年1月から全70駅の踏破を目指してスタートしました。JR、阪急、能勢電鉄と展開し、コロナ禍を経て最終章「阪神電鉄編」を始めます。

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