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指導する佐藤玄主さん=武庫東中学校
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指導する佐藤玄主さん=武庫東中学校
2018年1月10日の福男選びで、開門と同時に走り出す参加者たち。左から3人目の水色の服が佐藤さん=西宮神社
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2018年1月10日の福男選びで、開門と同時に走り出す参加者たち。左から3人目の水色の服が佐藤さん=西宮神社
スタートダッシュを教える。気さくなやりとりに生徒は笑顔も=武庫東中学校
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スタートダッシュを教える。気さくなやりとりに生徒は笑顔も=武庫東中学校

 尼崎市立武庫東中学校(兵庫県尼崎市武庫之荘7)の陸上部が近年、県大会の上位入賞者や全国大会出場者を続々と輩出している。チームを支えるのは、外部コーチの佐藤玄主(くろす)さん(23)=神戸市。実は2018年、えべっさんの総本社・西宮神社(同県西宮市社家町)の行事「福男選び」で一番福になった人物だ。生徒たちとさらなる高みへ。後ろには福の神がついている?

 5年前の18年1月10日未明、陸上部の名門で知られる市立尼崎高校3年だった佐藤さんは、西宮神社の表大門前にいた。短距離走を始めた中学時代から5度目の挑戦。抽選で運良く先頭集団に場所を取れた。

 午前6時、開門と同時に一気にトップに立つと、自慢の健脚で差を広げて念願の「一番福」を獲得した。

 それは巡り合いの風が吹き始めた瞬間でもあった。

 その頃、武庫東中陸上部には転機が訪れる。全国級の選手を出すまでにチームを育てた顧問の異動が決まり、陸上を指導できる教員が校内にいなくなった。

    ◇   ◇

 佐藤さんはその春、大学には進まず、新たな道を模索し始めた。そもそも9歳で友人たちと地域の祭り応援隊を立ち上げた「お祭り男」でもある。福男の実績を掲げて四国のお遍路巡りに挑戦したり、福を分けるために東南アジアの水害被災地でボランティアをしたり。その勢いで翌19年春には、全国で日本伝統の祭りをサポートする企業への入社を決めた。

 その傍らで続けたのが、陸上だった。高校卒業後も自作のウェブサイトで陸上に関わる情報を発信し続け、たびたび尼崎の中学陸上部員が集まる練習会に臨時コーチとして参加した。そこにいたのが、武庫東中の元顧問だった。

 外部コーチを頼まれ「(顧問がチームに)ともした火を絶やさない」。そう心に決めて、引き受けることにした。

    ◇   ◇

 「今のフォームはどうでしたか」「どうやったら腕の振りが良くなりますか」

 武庫東中では、生徒たちから積極的に質問が飛んでくる。「こうだよ、こう」と佐藤さんは見本を見せ、笑いも交えた指導に明るい雰囲気で練習が進む。

 高校時代は全国大会に出場し、社会人になっても競技を続けている。21年9月にあった近畿マスターズ陸上競技大会の200メートルM24(学連登録者を除く24歳以下)では、なんと21秒50の日本新記録を打ち出した。

 22年夏の県総体で200メートル走3位に入った3年の中嶋葵花さん(15)は「現役で陸上をしているコーチがいるのはとても心強い」。100メートル走で4位入賞した3年の久保一輝さん(15)は「スタートブロックの使い方や背中の伸ばし方を具体的に教えてもらってすごく成長できた」と話す。

 佐藤さんは「コーチも仕事も、自分のしたいことができているのは、福男になったからですかね」と笑った。

 その福男選びは1月10日、コロナ禍を経て3年ぶりに実施される。

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