兵庫県西宮市は、市民から「桜の名所を未来へ引き継いでほしい」と３千万円の寄付があったと発表した。市の「緑化基金」に繰り入れる。寄付者は匿名を希望しているため、市は非公開で２月上旬に感謝状を贈る。

　市内には桜の名所が多くあり、南北２・８キロにわたって約１６６０本の桜並木がある夙川河川敷は「日本さくら名所１００選」にも選ばれている。

　しかし突然枯れたり、樹勢が衰えたりする古木も目立ち始めたため、市は２００２年から緑化基金を財源とする「桜の名所再生事業」に着手。樹木医の指導を受けて桜の健康診断を行い、根元の保護や土壌改良、若い木との植え替えなどに取り組んでいる。

　基金は１９８４年に設けられ、ピークの８６年度末には約３億２千万円あったが、２１年度末には約７９７０万円まで減っている。

　寄付は１月１６日にあり、寄付した市民は「夙川の美しい桜の景観に感銘を受けている。桜の名所の保全に活用してほしい」との意向を示しているという。市花と緑の課は「大変ありがたい。お気持ちに応えられるよう、大切に使いたい」としている。