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本庁舎と第2庁舎をつなぐ渡り廊下=宝塚市役所
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本庁舎と第2庁舎をつなぐ渡り廊下=宝塚市役所
G階を表示するエレベーター=宝塚市役所
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G階を表示するエレベーター=宝塚市役所
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西の市道側から入ると1階になる本庁舎。13日からは2階に(左の写真)東の駐車場側から入るとG階。変更後は1階に(右の写真)
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西の市道側から入ると1階になる本庁舎。13日からは2階に(左の写真)東の駐車場側から入るとG階。変更後は1階に(右の写真)

 兵庫県宝塚市は市役所本庁舎で使う階数表示「G階」を13日から取りやめることを決めた。40年間、英国式を採用して地上からG階、1階、2階…としてきたが、南隣にあった上下水道局庁舎は英国式でなく、2階の渡り廊下は本庁舎の1階につながるために「時空がねじれているのか」などと来庁者から困惑の声も出ていた。水道局の庁舎が第2庁舎として生まれ変わるのを機に、本庁舎のG階は1階にする。

■名建築家のアイデア

 市によると、「G」はグランドフロアの頭文字。英国では日本の1階をG階、2階を1階(ファーストフロア)、3階は2階(セカンドフロア)としており、1980年の建設時に設計した同市在住の名建築家・村野藤吾(1891-1984年)が採用した。

 ただ、国内で英国式を採る建物は少なく、たびたび来庁者から戸惑いの声が寄せられていた。1階の窓口サービス課を案内するにも、G階の市民から「ここが1階じゃないのか」と聞き返されたり、1階の市民からは「ここは2階ですよね」と不審がられたり。さらに上下水道局庁舎と渡り廊下で往来すると、水平移動なのに階数が変わり「混乱する」と苦情もあった。

■建築基準法では…

 ややこしいG階が生まれたのは、実は本庁舎が建つ敷地の高低差にある。

 標高の低い東側から入ると、地上水平に入る階は1階に思えるが、標高の高い西側から入ると一つ上の階が1階に思えてしまう。つまり、どちらが1階か迷う中で、村野が採用したのが英国方式だったのだ。

 ちなみに建築基準法上は、建物の高さを算定する基礎となる「地盤面」によって地上1階と地階は明確に線引きされている。

 敷地内に高低差が3メートル以上ある場合は平均値を地盤面とし、部屋の「床面-地盤面」が「床面-天井」の3分の1未満なら地上1階になり、逆に3分の1以上ならば地階になる。

 こうした「地上に入り口があっても、そこは地階」という建物は全国の商業施設やマンションで見られる。ただ、これは法律上の区分であって、所有者が案内表示で地階を1階としても問題はない。

 では、宝塚市役所本庁舎のG階はどうなのか。市管財課の担当者が言った。

 「G階は、法律上は1階なんです」

■来庁者の戸惑いは?

 第2庁舎は昨年12月に完成し、13日の業務開始に合わせて本庁舎のG階を1階とし、1階は2階に、2階は3階…へと各フロアの階数を一つずつ増やして表示する。第2庁舎には水道局時代と同様、2階部分から本庁舎に渡り廊下を通し、ようやく「時空のねじれ」は解消されることになる。

 「村野さんの遺族には表記を見直す許可を得た。これで来庁者のニーズに合った表記になる」と担当者は言う。しかし、来庁者の戸惑いは払拭されるのか。

 変更したら、標高の高い西から入ってこう言う人もいるだろう。「なぜ1階なのに、ここが2階なのか」

 土地の高低差による苦悩はこれからも続く。

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