学校法人関西学院(兵庫県西宮市)は10日、核廃絶を訴えるカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(91)に、名誉博士号と関西学院賞を贈った。授与式後に講演したサーローさんは、学生ら約400人に「核のない平和な社会をつくるため、日本政府の矛盾に満ちた政策を学び、政府に声を届けてほしい」と語りかけた。(山岸洋介)
広島市出身のサーローさんは、関学と縁の深い広島女学院の高等女学校(現中学校)2年だった13歳の時に被爆した。関学中学部の英語教師だったジム・サーロー氏と結婚してカナダへ移住し、世界中で核廃絶を訴えている。
学位記を受け取ったサーローさんは「亡き夫も天国で喜んでいると思う」と謝辞を述べた。夫が関学の宣教師を務めた1958~62年には、家族でキャンパス内の外国人住宅に住んでおり、当時を「学生と国際問題を語り合い、チャペルで祈りをささげた。忘れがたい日々です」と懐かしんだ。
会場では、2017年にノーベル平和賞を受けた核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の授賞式で、サーローさんが被爆者として初めて演説した時の映像が流された。壮絶な被爆体験を基に「核兵器は必要悪ではなく絶対悪。罪なき市民の死を無駄にしてはいけない」と訴える姿に、上映後は大きな拍手が起こった。
サーローさんは遠縁に当たる岸田文雄首相について「反核平和がライフワークと言いながら、核抑止論を基盤とする米国の核政策に完全に同調している。つじつまが合わない」と強い言葉で批判。核兵器禁止条約の成立に貢献したICANで大きな役割を果たしたのは「社会と政府を動かすために行動を起こした若い世代」と強調し、学生たちに「おとなしい国民にならないで」と呼びかけた。
関西学院が名誉博士号を贈るのは47人目。スクールモットーであるマスタリー・フォア・サービス(奉仕のための練達)の実践をたたえる関西学院賞は3人目となる。授与は2019年に決まっていたが、新型コロナウイルス禍で授与式が先延ばしになり、4年ぶりの来日に合わせて実現した。
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