今津駅前商店街前で「今も商売していた当時の雰囲気が残っているかな」と話す勝木美智子さん=西宮市今津水波町
今津駅前商店街前で「今も商売していた当時の雰囲気が残っているかな」と話す勝木美智子さん=西宮市今津水波町

 改札を出た乗り継ぎ客が垂直に曲がる連絡通路を足早に渡っていく。行き先は「阪急」の今津駅だ。

 両駅は阪神、阪急の接続を図ろうと、1926(昭和元)年12月に1日違いで開業。28年に阪急が仮駅舎でなくなると、阪神と平行になるよう急カーブで乗り入れ、両線はフェンス1枚を挟んで隣り合っていたという。

 「駅の近くには映画館が六つもあってね。西宮で一番の歓楽街やったのよ」

 駅南にあった阪神市場で約25年、母親と洋裁店を営んでいた勝木美智子さん(76)は、映画全盛期だった50年代後半をそう懐かしむ。今津大映、今津東映…。過去の住宅地図には劇場の名前が残る。洋画に邦画、児童向け映画、何でも見られた。ナイトショーは立ち見が出るほどの盛況ぶりだったという。