昔ながらの衣装で田植えに挑戦する子どもら=西宮市大社町
昔ながらの衣装で田植えに挑戦する子どもら=西宮市大社町

 自然の恵みに感謝する神事「めぐみ広田の大田植え」が26日、兵庫県西宮市大社町の広田神社であった。地元の小学生が花がさをかぶった「早乙女(さおとめ)」や、青色のたすきを巻いた「田童(たわらべ)」の衣装に身を包み、稲の苗を手植えした。

 500年以上前から続くとされる伝統行事。阪神・淡路大震災などで中断された時期を経て、1999年からは毎年続いている。2015年には、戦前に境内にあった水田を約300平方メートルの「御饌田(みけでん)」として復活させた。

 青空の下、本殿で豊作を祈った後、参道を歩いて御饌田へ。子どもたちは御神水をまいて清めた田んぼに横一列に並ぶと、氏子の大人らに教わりながらキヌヒカリの苗を植えていった。周囲では、地元住民らが民踊や吹奏楽演奏で雰囲気を盛り上げた。

 初めて参加した広田小4年の男児(10)は、泥に足を取られていきなり転倒。「最初は恥ずかしかったけど、だんだんきれいに植えられるようになって楽しかった。苗が倒れない深さの加減が難しくて、農家さんってめちゃくちゃ大変なんだなって思った」とにっこり笑った。

 米は10月初旬ごろの「抜穂(ぬきほ)祭」で収穫され、11月の「新嘗(にいなめ)祭」で神前に供えられる。同神社の西井璋(あきら)宮司(77)は「命の源になるお米がどのようにしてつくられているのか、子どもたちが知るきっかけになれば何より」と話した。(地道優樹)