サウジアラビアで1月に開かれた世界最高峰レース「ダカール・ラリー2026」の二輪部門に、兵庫県西脇市黒田庄町出身のプロライダー藤原慎也さん(36)=京都市=が初出場し、完走を成し遂げた。鎖骨などを折って苦しみながらも、「世界一過酷」とされるオフロードの長距離レースで砂漠や山岳地帯など約8千キロを走破した。(金井恒幸)
藤原さんは西脇市役所を表敬訪問し、片山象三市長に成績を報告した。同部門には各国から130人が出場したといい、日本人唯一の出場で総合55位。90人が完走したが、骨折などを理由に40人がリタイアする厳しいレースとなった。
急斜面などをオートバイで駆け抜ける競技「トライアル」のライダー。2019年にはトライアルの国際A級スーパークラスで全日本ランキング9位になるなど、世界各地のレースで活躍してきた。ダカール・ラリーのため、3年間にわたり集中的なトレーニングを積んだ。
レースは1月3日にスタートし、15日間かけて約8千キロを走った。「淡々とこなし、完走するつもりだった」というが、アクシデントが数多く発生した。高さ10メートル以上の砂の崖から落下し、目の周囲を骨折。道が二重に見える症状に苦しんだ。また、岩に接触して転倒し、鎖骨を骨折。医師からは「レースを続けるのは無理だが、本人が決めること」と告げられた。
西脇に住み、レースの位置情報を随時確認していた母親からはLINE(ライン)で「止まっているけど大丈夫ですか?」「道が間違っていませんか?」などと心配の連絡があった。また、交流サイト(SNS)でレースの状況を報告しており、熱い応援コメントが世界中から寄せられていた。出場までの周囲の支援を思い返し、「夢の舞台なので100%無理になるまであきらめない。絶対ゴールする」と信念を貫いた。
藤原さんは「自分の完走を知り『諦めていたことへの挑戦を決めた』というSNSでの報告もあり、人生の一歩を踏み出す勇気を与えられた」と喜び、「けがで全力を出せずに悔し涙を流したので、次回は全力を出し切って完走したい」と前を向いた。
故郷の子どもたちに向けては「なりたい理想の姿を見つけるロマンを大切にし、それをかなえる道筋を伝える機会を持ちたい」と意欲を見せた。片山市長は「西脇で育った人に、世界で挑戦して羽ばたき、リスペクトされる藤原さんのような人がいることを知ってほしい」と願っていた。
























