福男選びのスタート順の抽選を待つ増田明弘さん(左)と宮西卓さん(中央)、木村種伸さん=9日午後、西宮市社家町
福男選びのスタート順の抽選を待つ増田明弘さん(左)と宮西卓さん(中央)、木村種伸さん=9日午後、西宮市社家町

 えべっさんの総本社、西宮神社(兵庫県西宮市社家町)で10日早朝に行われた「開門神事福男選び」。一番福を狙うため、スタート順を決める抽選を待つ列が前日朝からできた。先頭に並ぶ人たちは近年、同じ顔ぶれが。抽選なので、そこまで早くから待つ必要がないのに、なぜなのか。話を聞いてみた。

 「これに参加しないと、一年が始まった感じがしない」。少なくとも3年前から連続で先頭に並ぶ接客業増田明弘さん(48)=大阪府藤井寺市=は、そう教えてくれた。

 参加は今年で17回目。9日午前6時半ごろ、神社に到着し、参拝を済ませて定位置をキープした。参拝してから列に並ぶのが毎年のルーティンという。

 「寒さに耐えて待つ試練の先に何かいいことがある」と、ほぼ丸1日、厳しい寒さの中でひたすら待つ。1月9、10の両日は毎年、有給休暇を取得して西宮を訪れている。「最近は会社側から福男出るよね? 有給取るよね? と尋ねられる」と笑う。

 自分で決めたラッキーカラーのピンクの服やマフラーをまとい、「福男になるために、まずはくじを当てたい」と意気込んだが、今年も抽選に外れた。

 2番目に並んだ介護士の宮西卓さん(38)。大阪市内の自宅からバイクを飛ばし、午前8時半に到着した。過去2回挑戦したが、いずれも抽選に外れた。「今年こそという思いできた。日頃の運動の成果を出したい」とほほ笑んだ。

 神戸市中央区でバーを経営する木村種伸さん(38)は、仕事を終えてそのまま神社に直行した。午前10時ごろに3番目に並んだ。全身を白の服で包み、「無欲で神事を楽しむ」との意味を込めた。

 先頭に並んだ3人は顔なじみといい、「新年のあいさつをして、雑談をしながら待つのが楽しい」と木村さん。抽選に当たらなくても、福をつかんだかのような笑顔が広がっていた。(潮海陽香)