神戸新聞NEXT

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 前知事の失職に伴う兵庫県知事選(31日告示、11月17日投開票)を前に、神戸新聞社などは10月20日、参加締め切りまでに立候補を表明した6人による討論会を神戸市内で開いた。告発文書問題を巡って混乱した県政の立て直しや、知事に求められる資質について議論。県立大無償化と県庁舎建て替えの方向性などを巡り意見を交わした。(コーディネーターは勝沼直子・神戸新聞論説委員長、まとめ・井原尚基、門田晋一、撮影・風斗雅博、大田将之)

 中川暢三氏、中村稔氏は29日、立候補取りやめを表明しました。この討論会は6氏の参加で実施したため、そのまま掲載しています。

<知事の資質>

 -知事に求められる資質とは何か。混乱した県政をどう立て直すか。

 清水 現在の兵庫に求められている知事は、職員や議会の声を集約し、対話を重視しながら政策を作れるボトムアップ型のリーダーだ。県政を再建するには、県庁の皆さんの知恵を借りる姿勢を示すことや、党派を超えた県議会の皆さんと連携することが大切だ。

 中川 知事には優れた人格や見識に加え、構想力や決断力、経営手腕、責任感などが求められる。告発文書を作成して亡くなった職員の家族に謝罪した上で混乱した県政を検証し、課長以上全職員の面接を実施する。若手職員との面談や提案も受け付ける。

 大沢 私自身、病院の院長として、職員に権限を渡すことによって力を発揮させ、地域の要望に対応してきた。知事にも職員が自由に話し合える組織作りが求められる。ハラスメント研修の制度化や公益通報制度の改善を通じて組織運営を改革する。

 中村 県民の声を聞いた上で目指す姿を共有し、政策として実行する力が求められる。県庁の風通しを良くするために、県政と県民がつながる対話の場を数多く設けたい。知事が輪の中心となり、県民や市町、企業、大学、NPOが連携できる仕組みをつくる。

 稲村 大きな権力を預かる知事には、リーダーとしての信念や責任感に加え、裸の王様にならないよう、多様な意見に耳を傾ける力やバランス感覚が求められる。県政再建に向けては、告発文書問題の検証や、公益通報制度の抜本的改善が必要だ。

 斎藤 知事にとって県民のための政策を実現させることが一番大切で、そのためのビジョンやリーダーシップが必要だ。物品受領などについての厳格なルール作りに加え、感謝の気持ちを伝えることなどによって職員や議会との信頼関係を構築することも大切だ。

<県立大の無償化>

 -県立大の無償化を2026年度までに大学院を含めた全学年に広げることをどう考えるか。

 大沢 大学で学ぶことは個人の利益になるだけでなく、広く社会全体の利益となる。県立大の無償化を拡充した上で、国にも授業料無償化を求めたい。

 中村 目的や効果を十分に吟味すべきだ。授業料無償化にとどまらず、教育を受ける機会の平等など、教育全般のあり方についての議論が必要だ。