住宅街の側溝に転落した高齢女性の救助に貢献したとして、神戸市北区の唐櫃小学校5年生多賀新(あらた)さん(10)と弟の3年生、成(なり)さん(8)の兄弟に、兵庫県の善行表彰「のじぎく賞」が贈られた。新さんは近くの交番に警察官を呼びに走り、成さんは女性に寄り添って励まし続けた。(長沢伸一)
7月19日午後1時前、北区唐櫃台の住宅街。習い事でボクシングジムに向かっていた成さんが、側溝から人の脚が突き出ているのを見つけた。
幅30センチ、深さ1メートルほどの溝に、女性が逆さまの体勢ではまっている。有馬署によると、女性は80代で、病院帰りに手押し車ごと溝に転落したという。
成さんは、驚きながらも「大丈夫ですか」と声をかけた。女性から「右肩が痛い」と反応があった。頭部から血が出ている。
そこに、新さんが追いついた。成さんが「交番に行って」と伝え、新さんは「おばあちゃんを見守っといて」と返して走り出した。約200メートル先に唐櫃交番があった。
新さんが署員と一緒に戻ってくるまで、成さんは女性を励まし続けた。女性は病院に搬送され、軽傷と判明したという。
のじぎく賞の伝達式で、中村裕之署長は「(救助が遅れれば)女性が熱中症になった可能性があり、助けを呼んで見守ってくれて、本当に素晴らしいの一言」と2人をたたえた。新さんは「おばあさんが苦しそうで痛そうで、『助けないと』と必死に動いた」と振り返り、成さんは「困っている人がいたらまた助けようと思う」と話した。