【午 前】

 8・30 東灘区・コープこうべ生活文化センター 震災直後、遺体安置所にも使われたセンターには、敷地内に鎮魂碑があり、集まった職員約40人が黙とうした。岩山利久組合長(63)が「1月17日はこれからも特別な日であり続ける」とあいさつ。一人一人が思いを込め、碑に献花した。

 6・00 芦屋市・西法寺 地域住民ら約50人が、代わる代わるドラム缶の鐘を打ち鳴らす。「ゴン、ゴン」。冷えた空気に鈍い音が響く。炊き出しや仮設の風呂などで体と心を温め合った日々を呼び覚ます。前住職の故上原泰行さんの妻照子さん(74)は「寒い中、被災した者同士、ドラム缶の火を囲んで励まし合ったことが忘れられない。この音を聞くと、自分が生かされていることを実感する」

【午前5時46分】

 長田区・御蔵北公園 「1・17」と並べたろうそくを前に、約100人がこうべを垂れた。黙とう後、僧侶が御菅地区の犠牲者128人の名前を読み上げる。自宅が全焼した木山美紀子さん(50)は、「震災の2日前にあった成人式で着た振り袖を、母が持って避難してくれたんです。今年それを長女が成人式で着たのを見て、あの日を思い出しました」と話した。

 長田区・六間道商店街 31年間で景色が一変した商店街に、地域住民らが紙袋で手作りした灯籠約400個が並ぶ。「愛」や「幸せになろう」などとメッセージが浮かび上がり、児童十数人を含む約70人が黙とうした。福祉施設職員の片山浩教(ひろゆき)さん(62)は「自分の言葉が並ぶことでつながりを感じ、思いがつながる」とつぶやく。

長田区・六間道商店街

 東灘区・本山第一小学校 校庭に静寂が広がる。「黙とうの会」に集った児童や住民ら約200人がろうそくを手に輪をつくり、祈る。会を運営するボーイスカウト神戸第54団の田中佑樹さん(42)は当時、同小6年。あいさつで「毎日震災について考えることはできないが、今日は思いをはせ、地域のつながりを考えたい」と呼びかけた。

東灘区・本山第一小学校

 淡路市・北淡震災記念公園 パチパチとたいまつが音を立てる中、約250人の住民らが目を閉じた。黙とうの後、「花は咲く」を合唱する声が、星空に響く。10年ほど前に淡路市に移住した小松賢二さん(44)は、この地で起きた災害を少しでも自分事として考えてほしいと思い、眠たがる小学3年の風花さん(8)を連れて来た。賢二さんは「震災のあった時刻の暗さや寒さを感じてほしい」と真剣な表情で話した。

淡路市・北淡震災記念公園

 西宮市・西宮震災記念碑公園 市内で亡くなった1086人の名前が刻まれた慰霊碑がライトに照らし出され、集まった人たちが黙とうをささげた。市民サークルの親友を亡くした保育士の宇野妙子さん(83)は「震災さえなければ今もつきあいが続いていたのに。ここに来れば会えたような気持ちになる」と話した。

【未 明】

 5・35 兵庫区・川池公園 住宅街にある公園の一角で、慰霊碑「いのちの碑」に人々が合掌する。近くに住む湊川中1年の中石翔大(しょうた)さん(13)は、毎年追悼行事に訪れ6年目。今年は友人に声をかけ3人で訪れた。「神戸市民としてこの日は絶対に忘れてはいけないと思って」

 5・32 長田区・カトリックたかとり教会 聖堂に住民や信徒、僧侶らが集い、それぞれの手の中でろうろくの火が細く揺れる。「31年が経過したが、私たちは震災を一生抱えて過ごすことになると思う」と神田裕神父(67)は語りかける。読経にほら貝の音、聖歌が響く。宗教を超えた祈りが重なる。

 5・29 長田区・大国公園 あの日、周辺が大火に見舞われた公園に、静かに人々が集まってくる。震災後に須磨区から公園近くに移り住んだ会社員脇壮一さん(42)は、学校で震災を学んだ長女の小学4年生寿寧(すずね)さん(9)から慰霊式に行きたいと言われ、付き添った。当時小学校5年生だった脇さんは「自分の被災した時と同じ年頃の娘が来たいと言ってくれてうれしい」と語った。

 5・25 長田区・日吉町ポケットパーク 震災後に統合して開校しただいち小の児童らが、灯籠に火を入れていく。吐く息は白い。元小学校教諭の蒔田由紀子さん(76)は、統合前の旧千歳小で受け持った当時28歳の教え子を亡くした。「生きていれば、もう59歳。気配りのできる、とても優しい子だったので、きっとすてきな大人の女性になっていたと思います」

長田区・日吉町ポケットパーク

 5・10 灘区・琵琶町公園 61人の名前が彫られた慰霊碑に照明が向けられ、「あの刻(とき)を忘れない」の文字が暗がりにくっきりと浮かぶ。地域住民がぽつりぽつりと集まり、約10人が碑を囲んだ。近くに住む中川清司さん(73)は「見違えるほどきれいな街になったからこそ、私たちが復興の過程で経験した苦労などを伝えていかなければいけない」と話した。