結婚相手を探す「婚活」にいそしむ50歳以上が増えているという。結婚相談所や婚活アプリへの登録が増加。熟年離婚や未婚者が増えていることが要因とされるが、新型コロナウイルス禍も影響しているという。婚活歴約5年の男性と、今年3月に始めたばかりという女性に話を聞くことができた。(斉藤正志)
■気持ちが折れそうに
兵庫県姫路市の会社員の政孝さん(54)=仮名=はゆっくりとした語り口で、穏やかな雰囲気だった。
政孝さんは若い頃に女性と交際したこともあったが、結婚には至らなかった。気付けば40代後半になり、「自分の将来を寂しく感じ始めた」と、結婚相談所に登録した。
ネットを介して担当者に紹介されたのは、約5年間で100人以上。うち同世代の10人と会ってお見合いし、2人と交際した。
しかし、1人は金遣いが荒いのが気になって交際をやめ、もう1人は相手側から断りの連絡が入った。
今年1月から、別の結婚相談所に変えて活動しているという。「婚活は大変ですか?」と聞くと、「大変です、何もかも」と自嘲気味に笑った。
「女性は付き合うと、何げない会話に相手を試す言葉を挟んでくる。頼りがいがあるかどうかなどを、見定めようとしてくる。そういうのに鈍感なので…」とため息をついた。
「お見合いを立て続けに断られると、気持ちが折れそうになることもある。でも、焦っても仕方がない。自分に合う相手を見つけたい」と話した。
■選ぶのではなく…
高知県に住む会社員の早紀子さん(59)=仮名=にも話を聞いた。
早紀子さんは結婚して関東地方に住んでいたが、40代後半で離婚。地元に戻ってきた。
昨年に大病を患い、3カ月間、入退院を繰り返した。病床で独身のままの生活に不安を感じ始め、今年3月に結婚相談所に登録した。
子どもや親との同居はNG。結婚相手は高収入でなくてもいいが、一定の収入、貯蓄は求めたい。「若いときならお互いが働けばいいけれど、もうあまり稼げないので」
オンラインで2人とお見合いしたが、交際したいとは思えなかった。
結婚相談所の担当者からは「選ぶのではなく、選ばれないといけないという考え方を持って」とアドバイスを受けた。
早紀子さんは「高望みしすぎるのがいけないことは、分かっている。妥協できるところは妥協して、できれば1年後には結婚していたい」と思いを口にした。
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50代の婚活市場が「活況」を呈している。全国に結婚相談所を展開する日本仲人協会やマッチングアプリを運営する企業に取材し、背景を探るとともに、「仲人士」に実情と成功の秘訣(ひけつ)を聞いた。