涼宮ハルヒシリーズの作品が並ぶ=西宮市苦楽園二番町
涼宮ハルヒシリーズの作品が並ぶ=西宮市苦楽園二番町

 人気アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」の舞台として知られる西宮北高校(兵庫県西宮市苦楽園二番町)が初めて、ファン向けに校舎を開放した。県立高校の再編による近隣校との統合で、2027年に校名がなくなるのを受けて企画。アニメファンら約千人が「聖地巡礼」を楽しんだ。(池田大介)

 「涼宮ハルヒ-」は女子高生ハルヒがクラブを立ち上げ、宇宙人や未来人の団員らと学校生活を過ごしながら超常現象を体験する学園ストーリー。原作者の谷川流(ながる)さんは西宮北高の卒業生で、作品に登場する「県立北高校」のモデルとして知られている。

 同校は今年4月、近隣の西宮甲山高(同市鷲林寺)と統合され、西宮苦楽園高となった。校名は西宮北高に在籍する2年生が卒業する27年3月末まで残るため、校舎の開放を決定。10月1日にインターネットで希望者を募ると、半日で定員が埋まった。

 今月23日にあった開放では、街が一望できる教室で、ハルヒや主人公の男子高生「キョン」の定位置となっている窓際の席にファンらが座り、撮影に興じた。

 クラブの部室も再現され、アニメに登場するパソコンやオセロなどが並べられた。校内各所に設けられた2次元コードをスマートフォンで読み込むと、拡張現実(AR)でアニメのシーンが表示され、ファンらは実際の校内と比較しながら散策を楽しんだ。

 AR制作に携わった同校2年の生徒(16)は「ハルヒのおかげで良い経験ができた。西宮北高はなくなるけど忘れないでほしい」。大阪から訪れたファンの会社員(23)は「アニメの世界に入ったような気分になって興奮した。あっという間に時間が過ぎた」と笑みを浮かべた。