石井正己さん
石井正己さん

 茨城県の布川(ふかわ)(今の利根町)で暮らした柳田国男は、兄の松岡鼎(かなえ)と縁故のある小川家の蔵書を読みふけった。辻川(今の兵庫県福崎町)の大庄屋・三木家に続く、第2の濫読(らんどく)時代になった。体が弱くて学校へ行かなかったが、独学で広く深い学識を身に付けたのである。自伝「故郷七十年」の「ある神秘な暗示」では、小川家での不思議な体験を語る。