川遊びなどで、川底の石についた褐色の「ヌルヌル」に足を取られ、思わずつるりと滑った経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。その主体は、「珪藻(けいそう)」という0・01~0・1ミリほどのごく小さな単細胞の植物です。
珪藻は、ワカメや昆布など「褐藻」と呼ばれる藻類の仲間で、褐色の葉緑体を持ちます。実はあの「ヌルヌル」の正体は、珪藻の体の一部や、川底に付着するために出す粘液なのです。
石の表面に付着した藻類は、水生昆虫や魚たちの住処(すみか)や餌になります。アユは藻類を餌とする魚の代表格で、石の表面を口でこそげ取るように食事をします。
私は子どもの頃、釣り好きだった祖父によくアユの友釣りに連れて行ってもらいました。水面を見つめていると、アユが餌を食べる瞬間に黄色い斑紋を持つ腹がきらっと光り、胸が高鳴りました(釣果が伴わないこともたびたびでしたが)。釣りに飽きて川に潜ると、川底の石にはササの葉のような細長い模様の「食み跡」が残されていました。
先日、親類が釣ったアユを甘露煮にしていただきました。食事中にふと思い立って内臓を残しておき、内容物を顕微鏡で観察してみると、思った通り多種多様な珪藻の「殻」が観察できました。
珪藻の最大の特徴であるこれらの殻は、私たちが日常で使うガラスとほぼ同じ成分でできており、アユの体内でもバラバラにならないほど頑丈です。
そのため、珪藻が死んだ後でもその殻は分解されずに湖や海の底に堆積し、化石として地層の中に残ります。珪藻のように微小な生物に由来する化石は「微化石」と呼ばれ、遠い過去の環境の変遷を読み解く手がかりにもなります。
さて、少し先の話になりますが、当館では2027年2月から企画展「プランクトンと微化石-ミクロ世界の〈かたち〉」を開催予定です。プランクトンや微化石の精巧な構造を、デジタル画像や拡大模型で紹介し、その造形の美しさと多様性に迫ります。普段は見えないミクロの世界を、ぜひのぞきに来てください。























