大径材壁柱の実物大の実験(提供)
大径材壁柱の実物大の実験(提供)

■木造住宅で地震に耐える

 突然ですが、ウルトラマンはコンクリートの上に立つことができるでしょうか。

 初代ウルトラマンは、身長40メートル、体重3万5千トンだそうです。体重を足底の面積で割ると、圧力が計算できます。

 身長1・7メートルの成人男性の足底の面積について、片足が平均170平方センチメートル、両足で340平方センチメートルとします。ウルトラマンの場合、成人男性との身長比などをもとに計算し、足底の面積は約19万平方センチメートルと予想されます(注・実際の接地面積はこれより小さい)。

 よってコンクリートにかかる圧力は、体重(3万5千トン)を面積(約19万平方センチメートル)で割り、ニュートン単位に換算すると、約18ニュートン毎平方ミリメートルになります。

 これに対し、コンクリートの一般的な強度は24ニュートン毎平方ミリメートル程度なので、両足で静かに立てばコンクリートの上に立つことができる、ということになります。ただし、片足立ちをしたり走ったりすると壊れそうです。コンクリートは強いですね。

 では、木材の上に立つことができるでしょうか? 多くの人は、それは難しい、と思うかもしれません。

 しかし木材は、方向によっては意外と強いのです。木材の繊維方向の強度、つまり切り株の上に立つように力をかける方向には非常に強く、コンクリートと同等以上の強度を発揮します。おまけにとても軽い。

 前置きが長くなりましたが、私の専門は建築構造です。建築が日常的に支える重量や地震・風などに対して安全に設計するのが仕事です。

 木造は地震に弱いイメージがあるかもしれませんが、木は軽くて強い材料です。地震は、建物の重量が小さいほどかかる力も小さくなります。よって木造にかかる地震力は他にくらべて小さく、適切に壁を設ければ地震に対して安全な構造が実現できます。

 例えば写真の住宅は、太い丸太から切り出した厚板を壁柱や床梁に活用しました。日本の山林には、戦後に大量に造林したスギやヒノキが十分に使われずに余っており、太りすぎて扱いの難しい「大径木」が増えています。この大径木の有効な使い道はないかと考えた構造です。大径木からひいた板は、厚みを持った面材でありながら繊維方向がそろっているため、床梁に適しており、少ない材料で架け渡すことができます。

 またこれだけ幅広の材なら、壁柱として地震力にも十分耐える可能性があります。現在は、壁柱が地震にどの程度に耐えうるかをさまざまな角度から検証し、実物大の実験で確かめています。

 この研究成果に基づいた木造の耐震改修も行っています。今後も木の構造的な良さを生かした建築構造の提案をしながら、さらに兵庫県産材の利活用も積極的に行っていきたいと思います。