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立ち漕ぎボードで釣りに出た男性、高波で転覆 漁船とヘリ、危機一髪の救出劇 低体温症「死んでいたかも」

2021/12/06 05:30

 海や湖など風や波が穏やかな水面でボード上に立ち、パドルをこいで進むスタンドアップパドルボード(SUP、サップ)に乗り、1人で釣りに行った男性(71)=兵庫県赤穂市=が11月、兵庫県相生市の相生湾南端で高波を受け転覆、泳ぎ着いた岩場から県消防防災ヘリコプターで救助された。捜索した漁業者らは「海の怖さを忘れず、天候に十分気を付けて」と注意する。(坂本 勝)

 サップは高い目線から景色を楽しめる。散歩気分で水上を進む手軽なスポーツとして愛好者が急増。ボード上で釣りやヨガなどを楽しむ人もいる。一方、動力がなく流されやすいため、岸に戻れなくなるなどの事故が増えている。

 兵庫県警赤穂署によると、男性は11月10日午前7時ごろ、赤穂市の坂越湾から相生湾の関西電力相生発電所沖へ向かった。同11時ごろまで釣りをし、波が高くなったため相生・赤穂市境の釜崎半島を回り込んで坂越湾に戻ろうとしたが、午後1時ごろに転覆。救命具を着ており、約50メートル泳いで岩場にたどり着いた。

 午後1時45分ごろ、男性の妻が「夫が『寒い』と携帯電話で助けを求めている」と110番。赤穂市漁協の大河優(まさる)組合長(61)らが同署の要請を受け、警察官や消防署員らを漁船に乗せて捜索した。同署が男性からの110番で位置を特定し、手を振っている男性を見つけたが、波で接岸できない上、道がなく車が近づけない。要請を受けたヘリが午後3時40分ごろ、男性をつり上げて千種川河川敷に搬送。男性は救急車で病院に運ばれた。約30分海中にいた男性は低体温症だったが、12日に退院した。漁業者らへ妻とお礼に訪れ、「死んでいたかもしれない」と感謝したという。

 県の善行表彰「のじぎく賞」を受けた大河さんらは「今季初の大しけで波が高かった。冬は短時間で命に関わる。海の怖さを知る漁業者として救助に協力できてよかった」と振り返った。

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