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カフェ兼バー、読書スペース…閉園した幼稚園が住民の手で「第3の居場所」に生まれ変わった 宍粟

2022/07/22 05:30

 2年前に閉園した染河内(そめごうち)幼稚園(兵庫県宍粟市一宮町能倉(よくら))が7月、地域の新たな交流拠点「染河内森のようちえん」としてオープンした。地域の先細りを懸念した住民たちが自ら改修作業を重ね、幼稚園の面影を残しつつ、木目調の温かい雰囲気を醸す空間に生まれ変わった。地場産品を生かしたカフェ兼バーのほか、会議室や読書スペース、ウッドデッキが利用できる。(村上晃宏)

 同園は少子化の影響で2020年3月に閉園した。隣の染河内小学校も18年3月で閉校しており、危機感を持った当時の自治会長らが同園の活用を計画し、実行委員会を結成。市から無償で借り受け、園舎(平屋318平方メートル)内の片付けや園庭の草刈り、壁面の塗装作業などを担った。

 改修費約2千万円は県と市の補助金に加え約380万円を自己負担。また染河内地区の住民からの寄付と、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで計約200万円が集まった。準備を整え、7月1日に本格オープンした。

 カフェ兼バー「かしのみ」では、実行委メンバーが育てたトマトやピーマンといった野菜を提供。豆や茶葉にこだわったコーヒー、紅茶、かつて地元で盛んだった染河内茶も用意する。ウッドデッキで自然を満喫しながら食事を楽しめる。

 また小説や漫画など約千冊を集めた読書スペースを開設。地域住民による会合やミニコンサートを開けるミーティングルームもある。ウッドデッキを活用したヨガ教室が始まるなど地域住民らの交流が広がりつつあるという。

 クラス名が書かれた看板や手洗い場など幼稚園時代の面影は残している。今後は園庭に芝生を植え、ピザ窯の設置やたき火ができるよう整備することを検討している。

 実行委代表の山本正幸さん(66)は「オープンはゴールでなくスタート。『第3の居場所』として気軽に立ち寄れる拠点にしたい。そして次世代につないでいく」と力を込めた。

 かしのみは毎週木-日曜の午前8時~午後8時。その他の利用は事前に連絡する。

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