ウクライナ出身で、長崎県壱岐市で避難民の受け入れや入国後のサポートに取り組む小野ヤーナさん(40)と一馬さん(36)夫婦の講演会が、兵庫県佐用町佐用のコワーキングスペース「コバコ」であった。ウクライナ東部出身のヤーナさんはロシアによる軍事侵攻を「いまだに信じられない」と語り、「報道が少なくなっても戦争は現在進行形で続いていることを忘れないでほしい」と訴えた。(勝浦美香)
「保健福祉文化南光基金」(佐用町上三河)の主催。基金の設立者で長崎県でも活動する新庄文明さんが小野さん夫婦を招待した。
2人は九州の大学で出会い、卒業後に結婚。その後壱岐市に移住し、旧ソ連諸国の障害者支援などに取り組んできた。ヤーナさんはウクライナ東部のハリコフ出身で、近接するロシアやベラルーシにも親戚や友人がいるという。「親近感すら持っていたロシアがまさか攻めてくるなんて。いまだに何が起こっているのか信じられず苦しい」と打ち明けた。
一馬さんは、侵攻開始後から現在までのウクライナの状況について、現地とのやり取りから知り得た情報を基に説明。食料配給の列に並んでいた市民らが銃撃を受けたと語り、「列に並んでいた人はただ飢えて食料を求めていただけ。戦争では、そんな人たちが突然日常を奪われてしまう」とやるせない気持ちをあらわにした。
夫婦は現在、通常のルートでは支援が届きにくいウクライナ東部の友人らに直接連絡を取って物資を送ったり、日本への避難民受け入れをサポートしたりしている。一馬さんは日本での身元保証人となり既に30人超のウクライナ人を九州へ避難させており、ヤーナさんは避難民向けにオンラインで日本語教室を開くなどアフターフォローにも忙しいという。
2人は「戦争は政府が解決する問題なので、私たちにはどうすることもできない」と悲しい表情を見せながらも「1人でも多くのウクライナ人が安心して朝を迎えられるよう支援を続けていく」と力を込めた。「侵攻開始から半年が過ぎ、報道も減っているが、日本の皆さんにはどうかこの問題に関心を持ち続けてほしい」と呼びかけた。
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