知事選「あなたの?に答えます」
【質問】新型コロナウイルスの「第4波」で、兵庫県は大阪府と同様に感染の急拡大を抑えられないまま医療崩壊に近い状態を招き、600人以上が亡くなりました。コロナ禍が1年以上続く中、これまでの教訓が生かされていると思えません。対応が甘かったのではないですか。
兵庫県では、2度目の緊急事態宣言が2月末に解除された直後、アルファ株(英国で確認された変異株)による感染再拡大が始まりました。4月5日からの「まん延防止等重点措置」でも感染拡大は収まらず、同月25日に3度目の緊急事態宣言が発令されました。
この第4波に、兵庫は大阪と歩調を合わせて対応してきましたが、井戸敏三知事は6月中旬の会見で「感染力の強い変異株への対応が手遅れになった。(重点措置などの)時期が1週間から10日遅かったかもしれない」と認めています。
県は昨年12月以降、病床を671床(うち重症用110床)から現在の1151床(うち重症用136床)にまで順次拡大しましたが、感染者の急増に追いつけませんでした。
4月下旬、1週間の新規感染者の1日平均が500人を超え、3~4月、県内で9人が入院できず自宅待機中に死亡しました。5月上旬には入院を待つ患者、自宅療養者がそれぞれ約1800人に上りました。
感染症に詳しい関西福祉大学(赤穂市)の勝田吉彰教授は「新型コロナは人類が経験したことがなく、さらに変異株となれば、宣言などの判断は難しい。次からはより早く手を打てれば」と話します。
今後は県内でもデルタ株(インドで確認された変異株)が広がる兆しがあり、「第5波」への備えが求められます。勝田教授は「行政主導で、感染症に対応する医療従事者の養成は必要」とも指摘します。
(コロナ取材班・井川朋宏)
2021/6/29