知事選「あなたの?に答えます」
【質問】阪神・淡路大震災の打撃を受けた兵庫経済は、被災地の復興とともに上向いてきた一方、2019年の域内総生産(名目)は井戸敏三知事が就任した01年からさほど伸びていません。5期20年の井戸県政を、地元の経済界はどのように総括しているのでしょうか。
県内の主な企業のトップや経済団体幹部に聞いたところ、井戸知事の功績として複数が挙げたのが、震災後の財政再建です。人員削減などの行財政改革を進めた結果、県は18年度決算で、基金(貯金)の取り崩しや借金をせずに収支均衡を達成しました。美容関係の会社社長は「大きな債務を抱えた難しい県政運営でも、県民サービスを維持した」と評価します。
日本商工会議所の政治団体は井戸知事の後継候補支援を表明。神戸商工会議所トップの家次恒(ひさし)会頭も「政策そのものは堅実に、かっちりとやってこられた。外に対する影響力が強い場面で『そこまで言わんでも』というような発言もあったが、行政手腕は素晴らしい」と総括しています。
一方で、5期20年の長期政権に対する苦言も複数ありました。大手メーカー会長は「手堅い政治手腕は評価しているが、20年は長すぎる。(大阪から兵庫に勢力を広げようとしている)日本維新の会を警戒してのことかもしれないが、引き際を間違えたと感じる」と述べました。
具体的な経済施策については、あまり触れられませんでした。部品メーカー社長は「県の経済施策は、国土交通省や経済産業省など国の施策に連動しているものが多い」と指摘。「会社の事業に影響する国の動向は敏感にキャッチするようにしているが、正直、県政にはそこまで注目していない」と明かしました。(経済部・高見雄樹、中務庸子)
2021/7/9