透明感のある色に、きらきら光るラインストーンの飾り。華やかなデザインや色使いで手元を美しく見せるネイルアートを、目が不自由な人たちにも楽しんでもらおうという動きが、兵庫などで広がりつつある。きっかけをつくったのは、5年前に視覚障害者向けの出張ネイルサロンを開いた佐藤優子さん(43)=埼玉県上尾市。その経験からは、「目が見えなくてもおしゃれをしたい」という人たちのニーズや、実現を阻む社会の障壁が見えてくる。(勝浦美香)
■埼玉の女性が西宮の業者と連携、イベント開催
ネイリストの佐藤さんが視覚障害者のニーズに着目したのは、起業前にボランティアで通っていた高齢者施設でのネイルケアの経験からだった。利用者は、視力が落ちていたり、爪が分厚くなっていたりして、思うように爪を切ることができない人ばかり。でも、きれいに仕上がった爪を見ると大喜びしてくれた。
「目が見えない人たちも同じかもしれない」。そんな漠然とした思いが浮かんだ。当初は「視覚障害への理解が全くない状態で、どうしていいか分からなかった」(佐藤さん)が、日本視覚障害者団体連合が主催するイベントに参加してニーズを探ることにした。
そこで出会った視覚障害者の女性たちから聞こえてきたのは、「他の人たちと同じように、おしゃれでいたい」という声だった。「見えないので見た目に関することはあまり気にならないのかと思っていたが、イメージと正反対だった」と佐藤さん。手応えを感じ、本格的に事業を展開することにした。
▼他人の目を通して