特殊詐欺被害が過去最悪のペースで増えていることを受け、兵庫県は29日、65歳以上の県内在住者を対象に、自動録音機能付き電話機の購入に最大1万円を補助すると発表した。標準的な機種なら補助の範囲内で買えるという。着信時に録音を告げる警告メッセージを流すことで、多くの被害を防げるという。
県によると、2022年に県内で認知した特殊詐欺の被害総額は、全国ワースト7位の19億1千万円だった。今年も9月末現在で14億6千万円に上り、前年を上回る水準。被害者の8割が65歳以上の高齢者という。被害を防ぐため、県や県警は29日に集中対策本部を立ち上げた。
特殊詐欺関連の電話は、警告メッセージが流れると切れることが多い。県は20、21年度、固定電話に外付けできる録音機約1万6千台を無料配布。22、23年度は自動録音電話機の購入金額の3分の2(上限8千円)を県と市町で半額ずつ補助する制度を設け、15市町で約4千台が購入された。独自の上乗せ補助や貸与を行う市町もある。
今回は従来の制度を拡充し、電話機の購入に上限1万円、録音機には上限5千円を補助し、県が全額負担する。電話機、録音機合わせて13万台の購入を目指すという。
予算は13億円で、財源は国の経済対策に基づく交付金。23年度一般会計補正予算案に盛り込み、県議会12月定例会に提出する。(金 慶順)