神戸市の女性団体メンバーと一緒に踊り、観客に手を振る選手やスタッフたち=25日夜、神戸市須磨区緑台、ユニバー記念競技場(撮影・中西幸大)
神戸市の女性団体メンバーと一緒に踊り、観客に手を振る選手やスタッフたち=25日夜、神戸市須磨区緑台、ユニバー記念競技場(撮影・中西幸大)

 東アジア初開催となったパラ陸上の世界選手権は25日夜、神戸市須磨区のユニバー記念競技場で閉会式が行われ、9日間の熱戦に幕を下ろした。168種目に104カ国・地域の1073人がエントリーし、20ほどの種目で世界新記録が誕生。総入場者数は約8万人(速報値)に上り、閉会式では各国の選手、競技スタッフらが演目の民踊に加わり、余韻に浸った。

 共生社会の実現などを理念に掲げた神戸大会。新型コロナウイルス禍による2度の延期を経て3年遅れの開催となったが、夏のパリ・パラリンピックの前哨戦として、男子走り幅跳び(義足・機能障害T64)で世界記録を持つマルクス・レーム(ドイツ)が7連覇を飾るなど盛り上がった。

 日本勢も活躍し、最終日は男子円盤投げ(脳性まひF37)で西宮市出身の新保大和(アシックス)が兵庫県勢で今大会初となる銅メダルを獲得。過去最多の66人が参戦した日本は前回大会からほぼ倍増の21個のメダルを積み上げた。

 閉会式では、大会組織委員会の増田明美会長が「しびれるような競技と元気な声援にワクワク、ドキドキした」と笑顔で総括。国際パラリンピック委員会のデュエイン・ケイル副会長は「世界的パンデミックの困難にもかかわらず、揺るぎない尽力によって神戸で開催できた」と感謝した。

 最後に神戸市婦人団体協議会の約200人が浴衣姿で民踊を披露。「こうべ港音頭」では競技を終えたばかりの選手や審判員らを招き入れ、障害の有無や国籍を超えて交流した。

 国内では今後もパラスポーツの国際大会が控える。2025年に東京で聴覚障害者の祭典「デフリンピック」、26年に愛知・名古屋でアジアパラ大会が予定され、神戸の熱気が引き継がれる。(有島弘記、門田晋一、千葉翔大)

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