兵庫県立こども病院=神戸市中央区港島南町1
兵庫県立こども病院=神戸市中央区港島南町1

 兵庫県立こども病院(神戸市中央区)は25日、同市の未就学男児に行った心臓手術で、空気が脳に入って血管が詰まり、高度の脳障害が生じたと発表した。男児は歩行や会話が困難になるなど重度の後遺症が出ている。

 飯島一誠院長らが同日会見し「患者さんとご家族、県民に深くおわびする」と謝罪した。

 同病院によると、男児は通常二つある心室が一つしかない単心室症を患っており、昨年5月、心臓を経由せず人工血管で血液が肺に届くようにする手術を受けた。その際、誤って心臓に入った空気が血管を通じ、脳まで達したという。手術は心臓血管外科医3人らが実施。空気が流れていることに気付いたが、対応が間に合わなかったという。

 手術後、男児はけいれん発作が約6時間続き、CT検査で脳障害の兆候が確認された。院外の医師を含む調査委員会による検証を受け、同病院は医療過誤と判断した。

 男児は手術前は歩行や会話ができたが、今はいずれも困難になり、現在も同病院に通院している。

 また県は同日、県立がんセンター(明石市)で2022年、80代の男性患者(同市)がMRI検査を受けた際、放射線科医が肺にしこりのようなものがある可能性を指摘したにもかかわらず、当時の主治医が報告を見落としていたと発表した。23年12月の検査で見落としが分かり、その後の検査で肺腺がんとリンパ節への転移が判明。現在はステージ3といい、同病院で治療を受けている。(井原尚基)