定例会見で記者の質問に応じる斎藤元彦知事=27日午後、兵庫県庁(撮影・斎藤雅志)
定例会見で記者の質問に応じる斎藤元彦知事=27日午後、兵庫県庁(撮影・斎藤雅志)

 兵庫県の斎藤元彦知事は27日の定例会見で、元西播磨県民局長が作成した告発文書の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問で、斎藤知事に「厳しい叱責を受けた」と指摘する職員の証言があったことを問われ、「(尋問は)秘密会で行われたので証言内容を把握していない。(自身が証言する)30日の百条委での調査にしっかり対応する」と述べるにとどめた。

 証人尋問は23日、斎藤知事のパワハラ疑惑をテーマに非公開で行われ、職員6人が証言。終了後に委員が会見して概要を公表した。元県民局長の懲戒処分に関する質疑もあった。

 同日に証言した職員の1人は、元県民局長の処分を前に、人事当局が「公益通報調査の結果を待ってからすべきでは」と進言したところ、斎藤知事から「公益通報調査の結果より先に処分できないか」と打診があったと証言した。斎藤知事は会見で指示の有無を問われると、「処分の過程は条例に基づく非公開情報。百条委で自分の認識や当時の対応を聞かれたら答えたい」として回答を避けた。

 処分を決定する綱紀委員会の委員長が、告発文書で名前が挙げられた前総務部長だったことを疑問視する意見があったという証言に対しては「処分は指針や規定に基づいて適切に対応した」と、従来の見解を繰り返した。また、辞職して県民に信を問う出直し選挙の意思がないかも問われたが、「百条委などにしっかり対応し、阪神・淡路大震災30年事業など日々の県政を前に進めることが私の責任」と改めて否定した。

 一方、3年前の知事選で斎藤知事を推薦した日本維新の会の馬場伸幸代表は、30日の知事の証人尋問後に維新として対応を協議すると表明している。これに対し、斎藤知事は「百条委ではできるだけ自分の言葉で説明したい」と話した。

 県議会百条委は30日のパワハラ疑惑に続き、9月5、6日に県の公益通報の取り扱いや知事らの贈答品の受領疑惑について証人尋問を行う。斎藤知事は30日と9月6日の証人尋問が予定されている。(金 慶順、岩崎昂志、鈴木雅之)