「世界中の誰でも楽しめる」。スケルトンの茶室模型で語る河崎敦子館長(左)と赤尾建蔵エグゼクティブアドバイザー=神戸市中央区熊内町7
「世界中の誰でも楽しめる」。スケルトンの茶室模型で語る河崎敦子館長(左)と赤尾建蔵エグゼクティブアドバイザー=神戸市中央区熊内町7

 「珠玉の場所」。そんな称賛を外国人観光客からも浴びるのは、JR新神戸駅から徒歩3分、国内唯一の大工道具の博物館「竹中大工道具館」(神戸市中央区)だ。今年は開館40年にして、現在地への移転から10年。そもそもなぜ神戸で、大工道具なのか。人気施設の歩みをひもとくと、設立と展示に懸ける強い思いが見えてくる。(田中真治)

 館名に竹中とある通り、設立母体は大手ゼネコンの竹中工務店(大阪市)。同社のルーツは江戸時代から続く名古屋の宮大工だが、1899(明治32)年の神戸進出を創立としている。85周年を記念し、創業家の竹中錬一会長(1911~96年)が、兵庫県庁近くの初代本社跡地に企業博物館として設立を提案した。