街頭演説に訪れた大物政治家の足元にもビールケースがあった=2012年9月、神戸市中央区
街頭演説に訪れた大物政治家の足元にもビールケースがあった=2012年9月、神戸市中央区

 ビールケースに乗って支援者らに政策を訴える-。日本の選挙でよく見かける演説風景だが、実はビールケースを「お立ち台」とするのはメーカー側にとって目的外使用に当たり、快く思っていない人は結構いるらしい。そもそも立候補者や政治家に悪意はなくとも、なぜそれを使いたがるのだろう。衆院選は15日に公示され、27日に投開票される。さて、激しさを増す舌戦の「足元」は? (門田晋一)

 確かに神戸新聞記者たちの取材を振り返ってみると、2022年の尼崎市長・市議補選でもそうだった。候補者の応援に、国会議員の女性が駆けつけた。こぶしを握って演説する姿はコンサートさながらだが、足元に目をやると、赤くて大きな文字が-。

 「KIRIN」「アサヒビール」。ビールメーカーの社名やロゴが記された六つの黄色いケースを並べ、その上に板をのせて簡易ステージにしていた。

 他にもお立ち台に使った陣営を挙げればきりがない。国政選挙で、兵庫県知事選で、大物政治家から無名の新人まで…。中にはビールケースを軽々と担ぎながら街頭を走り、各地で演説して回る候補者もいた。