全国でのストーカー加害者に対する受診の働きかけと実施率の推移
全国でのストーカー加害者に対する受診の働きかけと実施率の推移

 ストーカーによる事件が後を絶たない中、加害者への対策が進んでいない。全国の警察は近年、加害者にカウンセリングや治療を促す取り組みを開始。ただ、受け入れないケースが多く、兵庫県警では昨年、働きかけた157人(男性141人、女性16人)のうち、受診したのは9人にとどまり、5・7%と1割にも満たない。治療によって再発を防ぐ仕組みには課題が多い。(竜門和諒)

 ストーカー規制法は、埼玉県桶川市で起きた殺人事件を契機にできた。「つきまとい行為」などに警告や禁止命令を出すことができる。事件が起こるたびに議論され、規制できる行為の範囲が広げられてきた。

 しかし、神戸市では8月、マンションで住人の女性がナイフで刺殺される事件が発生。殺人容疑で逮捕された男(35)は過去に2度、別の女性にストーカー行為を繰り返し、摘発されていた。2022年に執行猶予付き有罪判決を受けた際、裁判官は「再犯が強く危惧される」と指摘した。

 つきまとい行為は、かねて依存性が問題視されてきた。専門家は治療で改善が期待できるとしており、警察もこの点に着目。16年度からカウンセリングや治療の働きかけを始めた。