昨年7月に始まった政府の災害ボランティア団体の事前登録制度で、登録を済ませたのは全国10団体にとどまっている。平時から官民連携を進め、スムーズな支援につなげるのが狙いだが、「ボランティア元年」と呼ばれた1995年の阪神・淡路大震災以降、活動を続ける団体からは「行政の管理が強まり、支援の裾野が狭くなる」と制度への懸念も出ている。
(上田勇紀)
災害対策基本法改正により政府が創設した「被災者援護協力団体」の登録制度。災害時の避難所運営の手助けや、物資の提供といった支援を担える民間団体を募り、内閣府が実績などを基に審査して登録の可否を決める。
内閣府は昨年10月、千葉県の一般社団法人や長崎県のNPO法人など6団体を登録したと発表。同11月には東京都の公益社団法人など4団体を追加した。今年1月時点で兵庫県内の団体の登録はない。申請した団体数は公表していない。
登録団体の情報は都道府県や市町村と共有し、内閣府のホームページで公表する。災害救助法が適用される大規模災害が発生した場合は、都道府県知事が登録団体に業務への「協力命令」を出すことができる。
「登録していないと被災地に行けないのではないか、との風潮が生まれ、支援の多様性が失われる」と指摘するのは、NPO法人「CODE海外災害援助市民センター」(神戸市兵庫区)の吉椿雅道事務局長(58)。自身は阪神・淡路で出身地の福岡から友人がいる神戸に駆けつけ、足湯の提供に取り組んだ。「ベテランではなく、初めての人の目線が新しい支援を生む」と話す。
阪神・淡路の被災地には1年間で若者ら137万人が全国から訪れた。吉椿さんは「誰かのために力になりたいという自主性がボランティアの大原則。知事の『協力命令』とは相いれない」とし、CODEの申請は見送る予定だ。
阪神・淡路を含め、国内外で被災地の歩みを見てきた神戸大の室崎益輝名誉教授(81)は「内閣府が登録の可否を審査して決めることで、ボランティア団体が政府の管理下に置かれる恐れがある」と懸念する。
全国社会福祉協議会(東京)が把握したボランティア団体数は、昨年4月時点で分野を問わず約16万8千ある。「全国災害ボランティア支援機構」(神戸市西区)の高橋守雄代表理事(77)は「登録がまだ10団体と少ないのは、様子見や制度への疑問が広がっているためでは」とみる。
内閣府の担当者は「登録していなくても被災地には今まで通り駆けつけられる。制度への疑問の声も届いているが、理解を得られるように説明を続け、今後も申請に基づいて登録を進めたい」としている。
関西学院大の関嘉寛教授(ボランティア論)の話 事前登録制度からは、ボランティアをがれき撤去などの労働力として捉え、単にその量を確保しようとする国の姿勢が見える。団体側からは登録する意義が見えづらく、認知度も低い。能登半島地震など近年の災害では、ボランティアを行政が管理する動きが進んだ。制度により、被災者一人一人に寄り添うというボランティアの特徴が失われてはならない。























