かつて暮らした芦屋への思いを話す井上和真さん=奈良市西大寺東町2
かつて暮らした芦屋への思いを話す井上和真さん=奈良市西大寺東町2

 阪神・淡路大震災で母を亡くした井上和真さん(67)は、発生2日後、住み慣れた芦屋市から妻の実家のある奈良県天理市へ避難し、31年たった今も同市に暮らす。芦屋や神戸は幼い頃からの思い出が詰まった場所。「震災がなければ離れなかった。いつか育ったまちに戻りたいね」。故郷への思いは消えない。

 井上さんは幼稚園の頃から芦屋市で育ち、中高生の時は友人と神戸・三宮でよく遊んだ。結婚してからも芦屋に住み、神戸や阪神地域への思い入れは深い。

 31年前の阪神・淡路で、芦屋市津知町の両親宅は倒壊。井上さんが同市朝日ケ丘町の自宅マンションから駆け付けると、母恵美子さん=当時(67)=はがれきに胸や肩を挟まれていた。顔にけがはなかったが「見れば生きていないと分かる状況だった」。呼吸はしておらず、脈が動いていないのを自ら確認した。