7月30日の東京五輪競泳女子400メートルメドレーリレー予選。第1泳者、背泳ぎの小西杏奈(ガスワン、兵庫県豊岡市出身)は2番手でつなぎ「いい泳ぎができた」。日本を決勝へ導き、笑顔が光った。
憧れの人を追いかけてきた。豊岡市立三江小の頃、県内の試合に出ると、隣のレーンには寺川綾がいた。後のロンドン五輪銅メダリストだ。「おっきくて速くてかっこいい。私もこうなりたい」と胸を高鳴らせた。
明石市立望海中では全国中学校体育大会の100メートル背泳ぎで決勝に進出。どうやら表彰式にはあの人が出席するらしい。「えっ、私が3番に入れば寺川さんからメダルもらえるの!?」。ウキウキ気分で泳いだ15歳は、3着でフィニッシュした。
小西は25歳になった。身長は159センチで当時とほぼ同じだが、体つきは全く違う。25キロの重りをつけての懸垂など壮絶な鍛錬で鋼の肉体をまとい、五輪にたどり着いた。
今大会では100メートル背泳ぎで59秒58の自己ベストを出し、絶好調だ。「ずっと目標にしている寺川綾さんの58秒70の日本記録を塗り替えたい」。8月1日、夢舞台の決勝で願いを実らせる。(藤村有希子)