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車輪のメンテナンスを担当する朝倉幸雄さん(左)や専属コーチの岩見一平さん(中央)の協力を得て練習する大矢勇気=6月25日、神戸市北区、しあわせの村(撮影・吉田敦史)
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車輪のメンテナンスを担当する朝倉幸雄さん(左)や専属コーチの岩見一平さん(中央)の協力を得て練習する大矢勇気=6月25日、神戸市北区、しあわせの村(撮影・吉田敦史)

 東京パラリンピック陸上日本代表で、3日の男子100メートル決勝(車いすT52)に挑む大矢勇気(39)=ニッセイ・ニュークリエーション、兵庫県西宮市出身=は、いつも「誰かの時間」を借りて移動し練習してきた。15歳で分かった脳腫瘍が影響して車を運転できず、荷物などの運搬を含めて福祉タクシーや公共交通機関の協力が必要だった。初の夢舞台は、移動を助けてくれた人に恩返しするレースにもなる。

 西宮市立平木中学校3年の冬、急に文字が見えづらくなったり、意識が飛んだりする時があった。病院に行くと、脳腫瘍が判明。手術を受け、日常生活に戻ったが、16歳の時にビル解体工事の現場から転落し、脊髄を損傷した。

 23歳で車いす陸上を本格的に始めたが、ぶつかったのが移動の壁だった。

 ライバル選手は自家用車を運転して練習場に行けたが、自身は脳腫瘍による高次脳機能障害で空間認知能力が落ち、医師に車の運転免許の取得を止められた。

 「強くなりたいのに練習に行けない。焦るし、ほんまに苦しかった。運転できる人がうらやましかった」

 競技ではレーサーと呼ばれる特別な車いすを使う。その搬送も必要で、誰かの助けがなければ練習にすら行けなかった。

 遠出の練習には自治体が助成金を出す福祉タクシーを活用。電車の場合は、最寄りのJR西宮駅をはじめ駅員が車内にレーサーを運んでくれた。乗客に「邪魔や」と言われても、代わりに「申し訳ありません」と頭を下げてくれた。

 西宮駅の駅員とは顔見知りになり、「今日はどこの遠征ですか」と見送ってくれる。大会本番が近づくと駅のホームに大矢の東京パラ出場を伝えるポスターを張ってくれた。

 「あの方たちがいなければ、僕には未来がない。その感謝を毎日忘れないようにしている」

 「東京土産に」と決めているのは、ひときわ輝く色のメダル。3日午前11時7分、国立競技場で世界最速に挑む。(有島弘記)

【特集ページ】東京パラリンピック2020

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