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7位入賞を果たし、笑顔を見せる男子・西脇工のメンバー=26日、京都市体育館(撮影・坂井萌香)
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7位入賞を果たし、笑顔を見せる男子・西脇工のメンバー=26日、京都市体育館(撮影・坂井萌香)
4区を担った稲見峻ら2年生の都大路経験者4人が残る来季へ向け、新たな戦いが始まる=26日、京都市内(撮影・中西幸大)
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4区を担った稲見峻ら2年生の都大路経験者4人が残る来季へ向け、新たな戦いが始まる=26日、京都市内(撮影・中西幸大)

 高校駅伝日本一8度の名門が、復活を印象付けた。26日に京都市で行われた全国高校駅伝で7位に入り、5年ぶりの入賞を果たした男子の西脇工。掲げた「不撓不屈(ふとうふくつ)~新しい事への挑戦~」の言葉通り、都大路でどん底からはい上がった新たな姿をみせた。

 昨秋の兵庫県高校駅伝。西脇工は33年ぶりにトップ2を逃し、3位に沈んだ。前年の全国高校駅伝で過去最低の24位だった以上の衝撃に、足立幸永監督は「夜も眠れないほどだった」と失意を味わった。

 悔しさと伝統校の重みをかみしめた選手たちは反省点を分析、生活面から見つめ直し、変化を恐れずに改善を図った。「授業中の態度、気付いたらごみを拾うなど徳を積むこと。私生活が変わってきたことが大きい」と塩田大空主将。意識改革の成果は春のトラックシーズンにすぐ表れ、自己ベストを更新する選手が相次いだ。

 すべてが順調だったわけではない。新型コロナウイルス禍の影響を受けた9月、全員そろって練習できない状況に陥った。駅伝前の大事な時期だけに焦りもあったが、前向きな気持ちを忘れず、次第に負けない雰囲気がつくられていった。10月の東播地区予選で力強い走りを見た指揮官は「誰かが何かをしたことに『ありがとう』の言葉を掛ける優しさがチームにあふれている。『優勝』って、優しさが勝るって書く。今年はそういう強さがある」と目を細めた。

 都大路の切符を懸けた11月の県高校駅伝は2時間3分35秒の大会新記録で優勝し、山中達貴副主将は「3位の悔しさをチーム全体で共有してきたから、あの走りができた」と涙を浮かべた。さらに、2年ぶりの全国舞台で積極的なレースを展開して7位に入り、1年前に掲げた「全国入賞」を達成。32度目の出場で入賞を24に伸ばし、選手たちは「うれしい」と声をそろえて喜び合った。

 名門校は変革の途上だ。変化の一つが髪型。卒業生でもある足立監督は「僕らの頃は中学が丸刈りだったから、あと3年続けるだけ。今はそうじゃない。時代が変わっているのに古い伝統に縛られていいのか」と考え、昨春から長髪を認めた。勧誘で中学生の反応はよくなったが、すぐに好結果とはいかなかった。指導者自身も選手に寄り添うことから始め「負けて怒ると、僕の顔色を見てと、悪循環になる。不易流行、大事なことは引き継ぎ、時代に応じて新しいことも取り入れたい」と模索を続ける。

 塩田主将は「自由なのは、先生が信頼してくれているということ。みんなが線引きをしっかり考えているので、いい方に向いたと思う」と話す。「逆境が人を強くすると、実証してくれた。練習への取り組み、考え方の大切さがよく分かった。選手たちにありがとうと伝えたい」と足立監督。自律した現役生が、先輩から受け継がれてきた「心のたすきリレー」を、今の自分たちらしく表現した。

(金山成美)

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