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阪神との交流戦で左前打を放つ栗山巧=2005年5月19日、甲子園
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阪神との交流戦で左前打を放つ栗山巧=2005年5月19日、甲子園
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 プロ野球西武の栗山巧外野手(38)=育英高出身(兵庫県)=が昨年、一流打者の証しとなる通算2千安打を達成した。ドラフト4位で入団し、3年目(2004年)の初安打から18年かけての偉業。磨いた打撃の粋をデータと栗山本人の言葉で解剖する。

     ◇

■諭され猛練習、詰まって打つ

 栗山の長所の一つは広角に打てることだ。それはデータにも表れている=円グラフ。特に09~12年は逆方向の左が最多となった=棒グラフ。

 高校までは「とにかく引っ張って強い打球を打つ。それである程度やれた」と振り返る。しかしプロでは大柄とは言えず、本塁打を量産するタイプでもない。2年目に入るころ、田辺徳雄コーチに諭された。

 「『お前、この先どうなると思う』と聞かれて『分かんないっす』と答えたら『そんな甘くねえんだよ。お前が1軍で3~5番を打てるんか。どんな役割で活躍できるか考えれば、打つ確率を高めること。センター中心に逆方向へ打ちなさい』と。説得力もあったし、やってみようかなと」

 そこから猛練習が始まった。教えの一つが「詰まって打て」。打者は一般的に詰まることを嫌がる。

 「全部逆方向に打つ。『引っ張っちゃいました』はあり得ず、左手がパンパンに腫れた。僕は右利きだけど、左腕の力も強いので球を押し込めた。ただ、それまではグシャッと球とけんかするような打ち方だったのが、球の内側にバットを入れてやることで、いなして(逆後方へ)スムーズに打つことを教わった。詰まる感覚をしっかり覚えられた」

 「逆方向に打とうと思うと、ミートポイントが自然と体に寄る。球1個分か1個半分ぐらいだが、感覚的には劇的に近くなる。それでミートポイントに奥行きと幅ができた。3年目ぐらいになると、ある程度好きに打っていいと言われた」

 初安打は04年、1軍初出場のシーズン最終戦。右方向に打ち返した。

 「チームにいい選手が多くて、極端にチャンスが少ない中で何とか打てた。あれがないと、その後はない。もう一つ、09年の開幕27打席目の初安打もうれしかった。打撃は少しのブレが響く。あのときは前年に最多安打を取って勘違いし、心技体のバランスが崩れていた。怖さを知りました。持ち直せたのは、それでも打席をもらえたから。本当に育ててもらいました」(伊丹昭史)

     ◇     ◇

■人の数倍努力、半べそも

 若手の栗山を指導した西武・田辺徳雄ファーム野手特命コーチの話 当初は力任せで打撃が粗かった。選球眼は抜群にいいのに、球にすぐ飛びついて打つのでミート率が悪い。我慢して球を長く見て、丁寧に打てるよう、逆方向に打つ練習から伸ばしていった。練習は人の2、3倍やって、半べそのときも(笑)。闘争心は僕のコーチ歴でも3本の指に入る。当時三振か、死球も含めた出塁か、でジュースを懸けていたおかげか、内角球にも逃げず崩れない。体も強く、2500安打もいくのでは。

【連載一覧】
(中)選球眼
(下)模索と進化

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