バレーボールの女子日本代表チームは、兵庫の色が濃くなっている。代表監督には、兵庫県姫路市出身の真鍋政義氏（５８）が６年ぶりに復帰。２０２２年度の日本代表登録メンバー全３９人のうち兵庫ゆかりの選手は１３人に上り、１次合宿を経て絞り込まれた２５人の中にも８人が残った。昨夏の東京五輪で２５年ぶりに１次リーグ敗退した日本女子バレーの再起へ、真鍋監督は「オールジャパンで一致団結し、難局を乗り越えたい」と総力戦を誓う。（長江優咲）

　２２年度の選出でファンがもっとも驚いたのが、尼崎市出身で米ミネソタ大の宮部藍梨（２３）が６年ぶりに復帰したことだ。父はナイジェリア人で、１８１センチの長身と高い身体能力を生かしたスパイクが武器。前回の真鍋監督体制だった１５年に当時１６歳で初選出されて話題となったが、１７年夏に米国へ渡り、代表からは離れていた。

　米国でのプレーもチェックしていたという指揮官は「高いブロックを前にして試合をしている。ライト、レフトともに安定してスパイクが決められる。ぜひ（代表で）復活してほしい」と強い期待をにじませる。

　今回は妹で東海大３年の愛芽世（あめぜ）（２０）も代表入り。「持ち味である攻撃力で世界を相手に爪痕を残せるように。若手からチームの底上げができれば」と気合十分だ。姉妹そろっての選出は「同じコートに立つイメージが湧かない」としつつ「この機会を大事にしたい」。仲間としてライバルとして切磋琢磨（せっさたくま）する。

■Ｖリーグ３チーム

　兵庫が拠点のＶリーグ１部（Ｖ１）の３チームからは１１人が名を連ねた。

　「姫路から世界へ」をスローガンに１６年に発足したヴィクトリーナ姫路からは２人が初めて日本代表登録された。花井萌里（もえり）（２５）と佐々木千紘（ちひろ）（２４）は「世界への第一歩が踏み出せた。ここから頑張りたい」と意欲を燃やす。

　今季Ｖ１女子を制した久光スプリングス（練習拠点・神戸市）からは日本人選手歴代最多の５８４得点を記録してリーグの最高殊勲選手賞（ＭＶＰ）に輝いた井上愛里沙（２７）ら４人、準優勝のＪＴマーヴェラス（練習拠点・西宮市）からは昨夏の東京五輪代表の籾井あき（２１）、林琴奈（２２）ら５人が、それぞれ登録された。

　その中には、若手の注目株も含まれる。久光の平山詩嫣（しおん）（２１）と中川美柚（みゆ）（２２）、ＪＴの西川有喜（２１）は１９年のＵ２０（ジュニア）世界選手権で日本が初優勝した際のメンバー。世代の世界トップレベルを肌で感じ、相手の高さやパワーに気後れせず戦った経験を力に変え、国内リーグでも頭角を現している。

　新生真鍋ジャパンの目標は「２４年パリ五輪でのメダル挑戦」。５月３１日には今季初の国際大会ネーションズリーグ（米国など）が開幕し、五輪に向けた戦いが続く。

■スタッフもずらり

　スタッフにも兵庫と縁が深い人物の名前が並ぶ。

　真鍋監督の下、１２年ロンドン五輪で銅メダルを獲得した元日本代表セッターの竹下佳江さん（４４）＝ヴィクトリーナ姫路取締役球団社長付エグゼクティブアドバイザー＝は、監督付戦略アドバイザーに就任。主にセッターの指導育成に携わる。尼崎市出身のアシスタントコーチ久原翼さん（２７）をはじめ、バレー熱の高い兵庫の関係者らも強力にサポートする。

　８月には、翌月の世界選手権の壮行試合として、姫路市のヴィクトリーナ・ウインク体育館で紅白戦が実施され、市内で合宿も組まれる予定だ。「地元の応援はありがたく、身の引き締まる思い。五輪予選を勝ち抜くのは難しいが、バレー関係者で一致団結して戦いたい」と真鍋監督。兵庫からパリを見据えている。