サッカー女子プロ、Ｙｏｇｉｂｏ　ＷＥリーグの初代最優秀選手（ＭＶＰ）に、ＩＮＡＣ神戸のＧＫ山下杏也加（２６）が選ばれた。今季２０試合中１９試合に出場し、失点はわずか「７」。前半戦８試合連続無失点の堅守を支えた守護神は「（受賞は）チームが優勝できたからこそ。みんなが必死にボールを追いかけてくれたから失点を抑えられた」と、周囲への感謝を忘れなかった。（長江優咲）

　日本代表ＧＫの山下はＷＥリーグ開幕前の昨年１月、日テレ東京Ｖから加入。最後尾からの守備の統率力に加え、第１３節の千葉戦でＦＫを止めるなど抜群の安定感を誇り、ＩＮＡＣは全１１チーム中唯一の１桁失点で初代女王に輝いた。正確なキックで攻撃の起点としても重要な役割を担った。

　ＷＥリーグ発足まで国内最高峰だったなでしこリーグでは、過去にＧＫのＭＶＰ受賞は例がなく、「ベストイレブンを受賞してきた今までの中でも一番うれしい」と山下。表彰式ではＩＮＡＣのＯＧ澤穂希（ほまれ）さんから盾を受け取り、爽やかな笑顔で記念写真に納まった。

　リーグは初年度、集客面などで課題が残った。女子ワールドカップ（Ｗ杯）を来年に控える中、「多くの人に見てもらうチャンスをつかめるかどうかは自分たち次第」と先を見る目は冷静だ。「初年度よりレベルの高いプレーを見せられるように頑張りたい」と来季へ意気込んだ。