９日に開幕したバスケットボールの全国高校選手権（ウインターカップ）兵庫県予選女子で、１、２年生の６選手で挑んだ上郡はベスト１６に届かなかった。２回戦でけが人や退場者が出て、後半は４人での戦いとなり敗北。だが１４年ぶりの晴れ舞台で、沼田華奈監督が「選手たちの良さが全部出た」という奮闘を見せ、貴重な１勝を挙げた。

　豊岡総合との１回戦は５０－３４で快勝した。エースの児島知奈主将や、赤穂西中時代に陸上で活躍したセンター片上ひなたを軸に、攻撃リバウンドを何度も奪取。片上は「人数が少なくても強気でやった」と胸を張った。

　児島主将は「内に秘めた闘志」（沼田監督）を大一番であらわにした。第３クオーター（Ｑ）、スチールされても猛ダッシュで相手に追いつき、強豪・市尼崎高元主将の指揮官直伝のブロックショットを披露。第４Ｑにはボールを奪って速攻と、一人で２２点を稼いだ。

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　４時間後に迎えた洲本との２回戦。飼い猫に腕をかまれても痛み止めを飲んで練習試合に出るほど責任感の強い１年生ガード中山奈波が、第１Ｑに突然、コートにうずくまった。左足甲を痛めて動けないため、唯一の控えの細見彩菜がコートイン。プレーできるのはぎりぎりの５人となった。

　厳しい守備に遭い９－２９で迎えた第３Ｑ。さらなる苦境に立たされた。大黒柱の児島主将が５ファウルで退場し、ついに４人に。１人に対し、相手は２人で阻みにきた。

　シューター石本つくしが球の運び役として粘ったが、メンバーは連戦でもう体力が残っていない。終了間際、片上がバスケットカウントを決めたのは最後の意地。２９－７２で敗れ、三木紗樹副将の目には涙があふれた。

　４対５になっても戦いぬいた教え子たちを、沼田監督は「最後までできることをやろうとしたことを褒めたい」とねぎらった。「ルーズボールや守備の目立たないところでもよく頑張り、１回戦はそれが点差に表れた」

　児島主将は「悔しい。まだみんなシュートが定まっていない。確実に決められるようにしたい」と誓う。１勝の自信と、チームスローガン「日々笑進（しょうじん）」を胸に、来夏の総体シーズンへと歩み始める。（藤村有希子）