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長い手足をしなやかに使って放つ、力強いスパイクで貢献する姫路の宮部藍梨=姫路市のヴィクトリーナ・ウインク体育館
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長い手足をしなやかに使って放つ、力強いスパイクで貢献する姫路の宮部藍梨=姫路市のヴィクトリーナ・ウインク体育館

 兵庫県尼崎市出身の24歳、プロバレーボール選手の宮部藍梨は、米国の大学卒業を見据えて一般企業の就職活動をしていた1年前には想像すらしていなかった日々を過ごしている。今春、実に6年ぶりに日本代表に返り咲き、10月29日に開幕したVリーグ1部(V1)女子、ヴィクトリーナ姫路の新戦力としてコートに立つ。「自分の原点である兵庫に戻ってプロ1年目を始めることが、一番いいスタートになる」-。米国で修行を積み、苦悩の日々を経た今、競技への思いはぶれない。

 宮部はナイジェリア人の父を持ち、181センチの長身から繰り出す威力のあるスパイクが持ち味のアウトサイドヒッター。大阪・金蘭会高2年時に華々しく日本代表デビューを飾ったが、米国へ渡った2017年以降は代表から離れていた。

 米国での競技生活は順風満帆ではなかった。ミネソタ大などで腕を磨いたが、「試合では途中までずっと控え。調子が悪い選手に代わり、どのポジションでも入っていた」という。米国にはプロリーグがなく、大学卒業後の進路を模索する中で「続けたい気持ちだけで続けられるもんじゃない。(競技を)辞めようというよりは、行くチームもないし、『無理や』と感じていた」と行き詰まった。昨年の秋から冬にかけては、練習や試合と並行して就職活動に取り組み、日本企業のオンライン面接などに参加した。

 転機は突然やってきた。時を同じくしてヴィクトリーナ姫路の前オーナー、真鍋政義氏(兵庫県姫路市出身)の女子日本代表監督復帰が決定。24年パリ五輪に向け「真鍋ジャパン」が再始動した今春、発表された代表メンバーの中に自分の名前があった。「『えっ』って感じ。自分でも呼ばれるなんて思ってなくて衝撃だった」。東海大の妹愛芽世(あめぜ)とそろっての代表入りは、ファンの話題をさらった。

 5月に大学を卒業し、9月下旬からは日の丸を背負って世界選手権に出場。真鍋監督の助言で、初めてミドルブロッカーにも挑戦した。「各国代表と戦うのに、手探りでずっと不安だった」と苦笑しながらも、「『こんなこともできるんや』という発見は収穫だった」と新たな気付きを得た。高さを生かしたブロックで壁となり、チームの8強入りに貢献した。

 代表に復帰し、日本に帰ってきて「『辞めてなかったんや』って言われることがめちゃくちゃ多い」からこそ、思う。「米国に行っていた間、日本の方々にプレーする姿を見てもらう機会は全くなかった。『やってるよ!』って、変わらず応援してくれる人たちに成長した姿を見せたい」、と。

 Vリーグ開幕戦では、ミドルブロッカーのポジションで先発出場し、アタックでもブロックでも得点。今季初戦を白星で飾り、8位以上の目標を掲げるチームで早速存在感を発揮している。

 打って、拾って。競技に打ち込める喜びを、全身で表現する。(長江優咲)

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