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笑顔で自主トレーニングに励む三浦知良=12日、大阪府内
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笑顔で自主トレーニングに励む三浦知良=12日、大阪府内
自主トレーニングに励む55歳の三浦知良=12日、大阪府内
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自主トレーニングに励む55歳の三浦知良=12日、大阪府内
自主トレーニングに励む55歳の三浦知良=12日、大阪府内
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自主トレーニングに励む55歳の三浦知良=12日、大阪府内
大観衆の視線を集める鈴鹿ポイントゲッターズの三浦知良=10月23日、ロートフィールド奈良
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大観衆の視線を集める鈴鹿ポイントゲッターズの三浦知良=10月23日、ロートフィールド奈良
試合後、車で競技場を出る三浦知良を目当てに、出口付近に集まった大勢のファン=10月23日、ロートフィールド奈良
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試合後、車で競技場を出る三浦知良を目当てに、出口付近に集まった大勢のファン=10月23日、ロートフィールド奈良

 日本サッカー界のレジェンド、元日本代表FW三浦知良(鈴鹿ポイントゲッターズ)の周辺がまた騒がしくなってきた。55歳で現役を続けているだけでも驚きなのに、今度は17年ぶりの海外移籍の可能性が浮上している。異国での生活に踏み出すことに恐れや不安はないのだろうか。12日から大阪で自主トレーニングを始めたばかりのカズが思いを語った。(小川康介)

■「もうめちゃくちゃ」なシーズンオフ

 ここ3週間のハードスケジュールに疲れを感じながらも、カズは報道陣を前にどこかうれしそうだった。

 「鈴鹿から(今季最終戦が行われた)島根に行って、島根から(ワールドカップが開催されている)ドーハに行って、ドーハから東京へ戻ってまた鈴鹿へ行って、パリに行って、ポルトガルに行って、時差がどうなのかも分からない。おとといの夜に帰国して、昨日大阪に入ったので。もうめちゃくちゃです(笑)」

 移籍先の候補に挙がるのは、ポルトガル2部リーグのオリベイレンセ。カズの保有権を持つ横浜FCの親会社が経営権を取得したクラブだ。カズは10日に現地視察から帰国したばかり。年齢や体の状態、プレーぶりも踏まえた上で、先方から「若手に経験、姿勢を伝えてほしい」と獲得に前向きな意思を示されたという。

 「環境面や現場でのトレーニング、負荷の程度、選手の質を見てきました。実際にポルトガルに行ってみてサッカーの熱がすごく、世界に名だたる選手を輩出しているし、そういう国で自分が生活しながらプレーできるチャンスは今後ないと思いました」

 「もちろん日本でやるチャンスもどんどん狭まっていくと思いますが、海外で生活しながらさまざまな人間関係を築き、違う国のサッカー文化、考え方に触れながらやるというのは人生においてなかなか経験ができないことなのかなと思うので、検討したい。ただ参加するだけではだめ。自分のプレーができないと。練習生ではないんでね」

■出場機会と同様に「大事なもの」

 1年間で出場1分。2021年はJリーグ1部(J1)の横浜FCでわずかな出場しかなく、ノーゴールに終わった。限界説もささやかれる中、2022年は出場機会を求めて国内4部相当の日本フットボールリーグ(JFL)鈴鹿ポイントゲッターズに期限付き移籍。18試合に出場して2得点を挙げ、出場時間は計515分と500倍以上に増えた。

 「最優先はやっぱり試合に出ることで、ポルトガルのレベルは非常に高いし、自分が出られなかったらという不安はありますけど、それ以上に人間として、サッカー人として成長できるかとか感じられるものがあるじゃないですか。クラブ経営において日本人とのパイプ役になってほしいという話もありますし」

 「出場機会については監督に要求しました。その通りになるかは分からない。試合に出られないことがサッカー選手は一番きついのは分かっているけれど、日本では得られないものもあります。世界から見た日本がどう見えているのか、海外に出てみなきゃ分からないですから」

■安住の地にとどまらない選択

 ブラジル、イタリア、クロアチア、オーストラリアでのプレー経験があるが、シドニーFC(オーストラリア)にいたのはシーズン途中にヴィッセル神戸を退団した2005年、38歳の時。海外移籍はそれ以来5カ国目となる。10代からブラジルで暮らしていたため、ポルトガル語を話せるとはいえ、また一から新しい国の生活に慣れるのは大変だ。

 「言葉は困りませんが、けがへの対処、病院の状況は分からない。食事のことを含めて自分で環境を整えられるのか。一緒にいてくれるトレーナーには家族がおり、付きっきりで行ってくれる人がいるのか。横浜FCでも鈴鹿でも朝昼晩と食事をつくってくれる人がいたんですね。海外でそれが本当に可能なのか。もし行くとしたら来年1月になる」

 今オフは鈴鹿ポイントゲッターズのほか、複数のJクラブからもオファーを受け、昨オフ同様、引く手あまただ。今季は国立競技場(東京)にJFL歴代最多の1万6218人を集めた10月のクリアソン新宿戦をはじめ、カズの行くところに多くの観客が集まった。アウェーの試合であってもスタンドはスターの登場に沸き立った。ポルトガルに行けば、日本とは全く異なる視線にさらされることは容易に想像される。

 「マスコミも含めて全然違うでしょうね。直接、厳しい言葉が飛んでくると思うんで。でも、昔から僕はそうですからね(笑)。そういうこともまた刺激として受けてくるのもいいかなと思います」

 自主トレの直前には、かつて4年半暮らした神戸で友人たちと会い、英気を養うのが恒例となっていたが、今回はさすがに断念した。練習を終え、ワインレッドのガウンに身を包んだカズはこう言い残し、宿舎へ入った。

 「神戸に行く時間がないわけではなかったんだけど、ハードだったし、荷物も多かったから。ポルトガルに移籍したら(取材に)来る? まだどうなるか分からないけど、俺は前向きだよ」

 【みうら・かずよし】1967年2月26日、静岡市生まれ。15歳で単身ブラジルに渡り、名門サントスなどで活躍。94~95年にはイタリア・セリエAのジェノアに在籍した。日本代表のエースとして活躍し、国際Aマッチ89試合出場、歴代2位の通算55得点。Jリーグでは93年に最優秀選手賞、96年に得点王に輝いた。2001年から05年7月までヴィッセル神戸でプレーした後、横浜FCに移籍。22年、JFLの鈴鹿に期限付き移籍し、リーグの最年長得点記録と最年長出場記録を更新した。05年から神戸大使。177センチ、72キロ。

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