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欧州移籍への思いを語るDF小林友希=関西空港
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欧州移籍への思いを語るDF小林友希=関西空港
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欧州移籍への思いを語るDF小林友希=関西空港
今季、神戸で主力として経験を積んだ小林友希=10月12日、ノエビアスタジアム神戸
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今季、神戸で主力として経験を積んだ小林友希=10月12日、ノエビアスタジアム神戸

 サッカーJリーグ1部(J1)ヴィッセル神戸の育成組織(アカデミー)出身選手が、初めて欧州の名門クラブに挑戦する。スコットランド1部のセルティックに移籍した元U-22(22歳以下)日本代表DF小林友希(22)。3年半後のワールドカップ(W杯)を目指す左利きのセンターバックは「僕が活躍することでアカデミーの価値を世界に証明したい」と先駆者の気概を示す。

 「セルティックが興味を持っている」。そう聞いたのは9月ごろだった。昨夏に神戸から移籍したFW古橋亨梧やW杯カタール大会代表のFW前田大然ら小林を含め日本人5人が在籍。指揮官はかつて横浜Mを率いたポステコグルー監督だ。

 「できるだけ早くヨーロッパでチャレンジしたいという思いはずっとあった。行くのがゴールじゃなくて、チャンピオンズリーグに出るようなチームで活躍したかった」

 ただ、神戸のチーム状況を考えると、喜んでばかりもいられなかった。シーズン序盤から未勝利が続き、監督は3度代わった。2部(J2)降格の危機が迫っていた。「何も残せていない状況で行っていいのか」と葛藤した。

 神戸が天皇杯全日本選手権を制した2019年シーズンは夏にJ2町田へ期限付き移籍していた。「ヴィッセルでタイトルを取りたい」「欧州で活躍したい」。幼い頃から描いていた夢と現実のはざまで悩み抜いた末、小林は「欧州移籍はこのタイミングしかないかもしれない」と決断した。

     ◇

■世界との距離

 小林が世界を大きく意識したのは、2017年のU-17(17歳以下)W杯だ。守備の柱として奮闘したが、世界のトップレベルは想像以上だった。強く印象に残るのは、決勝トーナメント1回戦でPK戦の末に敗れたイングランドのMFフィル・フォーデン(マンチェスター・シティー)。「右インサイドハーフの彼と何度かマッチアップしたが、ボールが全然奪えなかった」という。

 次世代の逸材として注目されるフォーデンは今回のW杯でゴールを決め、チームメートだった一つ下の久保建英(レアル・ソシエダード)もサムライブルーの一員としてW杯のピッチに立った。「これ以上差を広げられたら追い付けない。差を縮めていくには彼らと同じ舞台で戦っていかないといけない」。17歳で感じた焦燥感は、年を追うごとに大きくなった。

     ◇

■まずは守備ありき

 身長185センチと高さがあり、アカデミー時代から左足の正確なロングフィードやビルドアップ能力が評価されてきた小林だが、まずは守備ありきだと考えている。ポステコグルー監督とオンラインで話した時も、フィジカルバトルへの対応や高めに敷くDFラインの統率を求められたという。

 「その上で縦パスを通すなど攻撃の一歩目としても貢献したい。神戸のアカデミーで学んできた部分を出していければ」と話す。

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■地に足つけて

 世代別の代表に選ばれ、J1リーグでも既に52試合を重ねてきたが、全国的な注目を浴びてきた選手ではない。試合の中のミスや成功から学び、センターバックに必須と言える経験値を少しずつ高めた。

 昨季限りで神戸を退団し、現役引退した元ベルギー代表DFトーマス・フェルマーレンからは「パス一つのスピードや寄せの速さ、そこを当たり前に思えることへの意識の差を感じた」と貪欲に世界レベルを吸収。「DFである以上、コミュニケーションは重要」とプロ入り後は英会話教室に通って語学力も磨いた。

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■育成出身初のW杯へ

 幼稚園でヴィッセルのスクールに通い始め、小学生から神戸の育成組織で育った小林。同じく神戸のアカデミーから羽ばたいたDF岩波拓也(浦和レッズ)やFW小川慶治朗(FCソウル)の背中を追いかけてきた。「自分の基準を上げてくれる存在。そんなアカデミーの選手に目標とされる選手になりたい」と誓う。

 W杯で、日本代表はドイツやスペインを破って16強入りした。「普段サッカーになじみがない人からも注目してもらえて応援してもらえる。そういう舞台に立ちたい」。列島が熱気に包まれていた1日夜、小林は関西空港から旅立った。米国、カナダ、メキシコ3カ国共催の2026年W杯まで3年半。神戸の育成組織から初のW杯戦士へ、若武者の挑戦が始まる。(山本哲志)

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