変わらないな、とほほえましかった。２４日夜に行われたフィギュアスケート全日本選手権女子。表彰式後の会見で、優勝した坂本花織と、自己最高の２位に入った三原舞依は、お互いの強さをこう表現した。

　「まいちゃんは集中力が人一倍すごくて、ゾーンに入ったら抜け出すのに時間がかかるぐらい集中力の鬼」（坂本）

　「かおちゃんは『フェラーリ』と言われているように、練習からどこまでもぶっ飛んでいく」（三原）

　話は１５年前にさかのぼる。浅田真央さんに憧れた小学２年生の三原が、神戸のスケートリンクを訪れた。「びゅんびゅん飛ばしていてすごいな」。ひときわ目を引く活発な少女が、小学１年生の坂本だった。

　２人は中野園子コーチとグレアム充子コーチに厳しくも温かく見守られ、成長の軌跡を銀盤に描いてきた。高め合い、挫折を乗り越えていく姿は、２０１６年と２０年に「舞依と花織」と題して２度連載記事にした。出会いの場面は当時の取材で聞いたものだ。

　再び今、日本一を懸けた同門決戦を終えた坂本は「（三原の点数が）やる気にさせてくれた」と振り返り、三原も「かおちゃんについていけてよかった」と言った。神戸のリンクで始まった競い合いは続く。３月の世界選手権でも「神戸組」のワンツーフィニッシュに地元紙として立ち会えたなら、記者冥利（みょうり）に尽きる。