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部活を引退した県内の中学3年生を集めた県中体連の練習会=三木市、みきぼうパークひょうご
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部活を引退した県内の中学3年生を集めた県中体連の練習会=三木市、みきぼうパークひょうご
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部活を引退した県内の中学3年生を集めた県中体連の練習会=三木市、みきぼうパークひょうご

 ドイツやスペインを破り、ワールドカップ(W杯)カタール大会をベスト16で終えたサッカー日本代表。メンバー26人の経歴は、各年代の代表に選ばれてきた選手から全国的に無名だった遅咲きまでさまざまだ。中学年代に着目すると、Jリーグクラブのアカデミー出身者が半数以上を占める中、DF長友佑都やFW浅野拓磨ら7人が学校部活動出身者だ。部活に励む今の生徒の中にも、キラリと光る原石はきっといるはず。兵庫県内の現場をのぞいた。

◆主流は部活動からジュニアユースへ

 近年の中学年代は、Jクラブのジュニアユースや街クラブが隆盛を誇る。かつて主流だった日本中学校体育連盟(中体連)所属の部活動は、教員の働き方改革の流れもあって活動の制限が増え、県中体連の関係者は「環境面でクラブチームとはどうしても差がある」と認める。

 そこで、高校サッカーの集大成、全国高校選手権の兵庫県予選でベスト8に入った学校のメンバーについて、神戸新聞の過去記事から中学時代の所属チームの変化を調べてみた。

 選手名簿の掲載を始めた2003年は中体連の部活出身者が71・3%を占めていたが、10年前の12年は41%と半数以下に。今年は20・5%とさらに減った。滝川第二(3人)や神戸弘陵(2人)など強豪私学は数人にとどまり、初優勝した芦屋学園は全員がクラブチーム出身者だった。

 「中学の部活にうまい選手が1人2人いても、できるプレーは限られる」と関係者は言う。ドリブルが得意な選手は1人で突破できても、パスや状況判断が長所の選手は、どうしても周囲のレベルに左右されてしまうという。また、夏の中学総体で引退してからのブランクも課題に挙げる。

◆きっかけはコロナ禍、教員たちが取り組む活動

 中体連選手の背中を押してあげたい-。そんな思いから、兵庫県の教員たちが取り組む活動がある。「兵庫JHSフットボールアカデミー」だ。

 きっかけは20年、新型コロナウイルス禍で全国中学校体育大会(全中)や県内の総体がなくなり、「このまま終わらせたくない」と希望した選手を対象に合同練習会を開いたことだった。徐々に発展させ、今年は県新人大会出場校16チームからの推薦選手らが集まり、月1度活動している。

 12月上旬、県内各地から約30人の中学3年生がみきぼうパークひょうご(三木市)に集まり、紅白戦などで汗を流した。車で約2時間かけて来たという豊岡南中の三宅椎仁(しいと)は「引退してからも高い意識の選手と競い合えてすごく刺激になる。広い世界を知れて良かった」と目を輝かせる。卒業後は近隣県の強豪校に進み、全国出場を目指すという。

 来年度は大学の支援を取り付け、ユニホームに大学名を入れてさらなる意識付けを図る。県中体連の秋田太一専門委員長は「子どもたちは環境次第で変わる。この活動で自信を付け、高校でも飛躍してほしい」と期待する。

◆県中体連出身Jリーガー、柏木、江坂ら元日本代表も

 兵庫県の中学サッカーから、日の丸を背負った選手もいる。J1浦和などで活躍した元日本代表MF柏木陽介(J3岐阜)は、たつの市立御津中出身。J1浦和から韓国Kリーグ蔚山に移籍した元日本代表MF江坂任(あたる)は三田市立ゆりのき台中から神戸弘陵高などを経てプロの世界に羽ばたいた。

 Jリーガーも輩出している。三木市立自由が丘中出身のGK坪井湧也(ゆうや)が今季、中大からJ1神戸に加入。終盤の川崎戦で初先発を飾った。宝塚市立宝梅中出身のDF井上聖也は、県西宮高、甲南大を経てJ1福岡に今季加入し、カップ戦で実戦経験を積んでいる。

 来季J2に昇格するいわきには、宝塚市立南ひばりガ丘中出身で報徳高のFW坂元一渚璃(いおり)が加わる。坂元は「中体連(中学校の部活)は練習時間が限られているからこそ、それ以外の自主練が大事」と、自身と同じような環境で鍛錬する選手たちにエールを送る。

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