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ドリブルを仕掛けるデウソン神戸の松本光平(中央)。今季入団後、主将も務める(一般社団法人神戸フットサルスポーツクラブ提供)
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ドリブルを仕掛けるデウソン神戸の松本光平(中央)。今季入団後、主将も務める(一般社団法人神戸フットサルスポーツクラブ提供)
ドリブルを仕掛けるデウソン神戸の松本光平。今季入団後、主将も務める(一般社団法人神戸フットサルスポーツクラブ提供)
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ドリブルを仕掛けるデウソン神戸の松本光平。今季入団後、主将も務める(一般社団法人神戸フットサルスポーツクラブ提供)
サッカーのクラブW杯に出場した後、視覚障害者となったデウソン神戸の松本=神戸新聞社
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サッカーのクラブW杯に出場した後、視覚障害者となったデウソン神戸の松本=神戸新聞社
サッカーのクラブW杯に出場した後、視覚障害者となったデウソン神戸の松本=神戸新聞社
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サッカーのクラブW杯に出場した後、視覚障害者となったデウソン神戸の松本=神戸新聞社

 サッカーの世界舞台に立つ夢をかなえ、さあこれからという時に右目が見えなくなったら、どれほどの絶望感だろう。そんな日本人選手がフットサルFリーグ2部のデウソン神戸にいる。3年前のトレーニング中の事故で左目もぼんやりするが、トップレベルに返り咲くことを諦めていない。

 松本光平、33歳。大阪市出身で、Jリーグの下部組織の有望株として育った。

 C大阪のジュニアユースで山口蛍(現神戸)、G大阪ユースでは宇佐美貴史ら後の日本代表選手とプレーした。

 G大阪のトップチーム昇格を逃すと海を渡り「どうしてもクラブワールドカップ(W杯)に出たい」と2014年からオセアニア枠のニュージーランド(NZ)を拠点にした。

 売りは対人の強さ。サイドバックなどとして活躍した19年冬、ヤンゲンというチームの一員としてクラブW杯を経験した。

■壮絶な日々

 目標達成から一転、20年5月に視力をほとんど失った。

 ジムの壁に金具を付けてチューブを引っ張っていると勢いよく外れた。「パチンコのように金具が右目に刺さって」。左目にもチューブが直撃し、激痛にもだえた。

 右目の摘出-。病院でそう伝えられたため、残存の可能性を求めて帰国した。手術は成功したが、術後の効果を定着させるため、2週間以上うつぶせを強いられた。

 だが新型コロナウイルスの最初の感染期で、入院3日で単身ホテルに移った。寝返りが厳禁なため、眠くなると従業員に帯で体を縛ってもらった。ずっと下を見ているから、いつが夜なのか分からなかった。

 立てるようになっても少し歩くだけで吐いた。視線が定まらず「乗り物酔いのように気分が悪くなって」。リハビリのため朝から晩まで公園を歩いたが、見た目は金髪にマスク、そしてサングラス。「いかにも怪しいですよね」。何度か職務質問を受けた。

 その年の秋に試合形式の練習ができるまで回復したが、左目だけでは距離感をつかみにくく、得意の対人プレーで後手に回った。修正には1対1が多いフットサルがいいと思い立ち、今季からデウソン神戸に在籍する。

■二つの目標

 パラスポーツのロービジョン(弱視)フットサルにも挑む。所属先の「CA SOLUA(シーエーソルア)葛飾」(東京)が行う視覚障害児の運動教室に顔を出すと、知らない世界があった。

 小学4年の男児が生まれて初めて走っていた。当然、腕振りもぎこちない。事情を聴くと、弱視だが、学校では「危ないから」と体育の授業に参加させてもらえなかったという。母親は泣いていた。

 「当事者となって、こういう子どもたちがいると知った。こっち(関西)でも走る機会を増やしてあげたい」。サッカーの公式戦への復帰に加え、新たな目標ができた。

 その前にやるべきことがある。

 デウソン神戸は2月5日、グリーンアリーナ神戸(神戸市須磨区)で今季最終節を迎える。順位は8位に低迷し、まだホームで勝利がない。「意地でも勝ちたい。プレー機会を与えてくれたクラブに恩返ししたい」と心を燃やす。

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